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内容説明
ここにロボットの残骸がある。『彼女』の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。これは彼女の精神回路から取り出したデータを再構築した情報―彼女が見、聴き、感じたことの…そして願っていたことの、全てである。第17回電撃小説大賞4次選考作。心に響く機械仕掛けの物語。
著者等紹介
松山剛[マツヤマタケシ]
東京都出身。第17回電撃小説大賞4次選考作が『雨の日のアイリス』として文庫化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yobata
70
ロボット研究者アンヴレラ博士のもとで働いていた家政婦ロボット・アイリスは何不自由なく家族同然として過ごしていたが、ある事件を境にスクラップにされてしまう。さらには悪環境の労働を強いられ…。人間の為に働く存在であるロボットの「破壊と再生」,そして「愛」についてロボット視点から描かれる感涙物語。知能があるロボットが人間の従物であり続ける限り、存在する永遠のテーマを愛してくれた博士がいなくなるという経験をしたアイリスから見てみる話で、転生してからの絶望感は酷い。しかしそのどん底でも出会ったリリス,ボルコフとの→2015/02/16
中性色
67
うん、面白い。面白いけどこれラノベじゃなくて一般小説じゃね?無機質であるロボットの感情というものをしっかりと書かれている作品。伏線の張り方はまぁまぁだけど、その伏線にその時になるまで気付かなかったのは、ひとえに物語に引き込めるほどの素地があったからなんだなと思う。リリスの「薄情なものよね。勝手に造っておいて、いらなくなったらポイなんてさ」というセリフにはいろんなものが詰まってる感じがするな。構成的にも、上げて下げて上げるがしっかりできてるのがいいな。あとは、リリスのメイド姿をはよ2014/12/28
オセロ
63
人間と感情のある機械達が共存する世界で、ウェンディ博士のもとでメイドとして働くアイリス。共に大切に思い幸せな日々を過ごしていたある日、博士が事故死したことから始まる切なくも感動的な物語。 スクラップになり作業用ロボットに転生したアイリスが、夜の読書会を通じてリリスやボルコフと友達になったある日、人間の残酷さを目の当たりにして、2人と共に行った壮絶な逃走劇の結末と、物語の全てが繋がるラスト。心温まる素敵な物語でした。2022/08/04
ほーりえ
57
ああ、久々に泣いた。バスの中で必死に堪えるも、ちょっと泣いた。 自分は情報工学を専攻する大学生で、人工知能にも若干興味を持ってるのですが、もし機械やロボットに自我があったら、こんな感じなのかなぁと。いろいろ想像してしまいます。 ラノベなので、一般の方には敬遠されがちですが、是非色んな人に読んで欲しいと思います。P266の挿絵や、読み終わった後に見る表紙等は、ラノベだからこそ表現できた芸術。2013/06/19
よっち
42
大好きな博士と一緒に幸せに暮らしていたアイリスが、博士の突然の死をきっかけに、いきなりモノとして扱われ、あっさりと廃棄処分が決まり、自分が廃棄処分場のロボットとして生まれ変わったことに気づいた残酷な流れは、読んでいてとても辛かったです。ただそこでリリスやボルコフに出会えて、自分のことを考えるきっかけを得たことは、最終的に自立して生きていくためにはきっと必要な過程で、辛いこともたくさんあったけれど、生まれ変われたアイリスが、仲間と前向きに生きていけそうな予感も感じられて、良かったなと思える終わり方でした。2013/10/31