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内容説明
衣谷繭が生まれ育った田舎町。四年ぶりに戻ってきたこの町には今、空き地に幽霊が出るという噂があった―。かつて小さい頃から繭たちは常に仲良しの六人組で過ごしていた。だが繭が引っ越す直前、彼女たちを繋いでいた少女・小姫が、毎日のように遊んでいた空き地で、死体で見つかった。それは繭たちにとっては禁忌の話題。そしてその話題に触れられた時、止まった過去は再び動き出す。少女たちが空き地で出会った時槻風乃がもたらすのは―。
著者等紹介
甲田学人[コウダガクト]
1977年、岡山生まれ。津山市出身。二松学舎大学卒。民俗学および魔術に関して知識を豊富に持ち、『Missing神隠しの物語』で電撃文庫デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
40
今回は『いばら姫』。家族内でも浮いている風乃の状況が垣間見れた。2022/07/08
白火
36
待ってました3巻、今回は長編。本編でも使われた童話だけど…やっぱりネクロポリスが焦点か。明確な形での怪奇現象ではなく、少しずつ侵蝕されて静かに狂っていく感じがするのは、やっぱり断章よりもMissingっぽい、どっちも大好き。あと、こういう〈泡禍〉だと、騎士団も手を出そうにも出せないんだろうなあ、なんて。 甲田先生の文章や世界観は、読んでいるとすっと馴染む感覚があって私は何時も心地良く思える。今回の話は特にその感覚が強くて、哀しいと思うと同時にすとんと落ちて収まった気がした。2015/01/09
Yobata
29
繭は四年ぶりに故郷へ戻って来る。そこは彼女が親友である姫子を殺した土地でもあった。戻ってきてからも変わらず友人になれた巫美子達は四年間、ずっと嘘をつき続けてきた。そこに「療養」として風乃が舞い降りる…。今回はいばら姫の長編。殺してしまった少女の一番嫌いな仲間割れを避ける為についてしまったほんのささやかな筈だった嘘が、四年間をかけて歪みつき通さなければならなくなってしまった少女達自身の報われ方があれとは…。相変わらずえげつない残酷な結末だったな。眠っただけという嘘を言い出しそれを貫き通すのも若干狂ってる→2014/12/25
そのぼん
26
四年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた少女ー。彼女が友人たちと再開したことから少女たちの心の奥底に仕舞い込んでいた『秘密』が徐々に微妙な均衡を失わせていき・・・。『いばら姫』がモチーフになっていましたが、今回も童話の世界と上手くリンクしていて、ゾワゾワしました。2015/02/21
よみとも
23
シリーズ第3弾は長編の「いばら姫」。小さい頃に仲のいい友達を亡くし、その死の真相を隠し続けた仲良しグループの女の子たちは、その重さに耐えかねて人知れず歪み、大きな破滅へと進んでいきます。本人たちには歪みの認識がなく、むしろ無邪気な様が怖いです。今回は完全に風乃が引き金をひきましたね。宴に招かれなかった13人目の魔女の罪の意識と孤独を思うと耐え難い気持ちになります。完成度はシリーズ第2作目の白雪姫の方が高くて話としても好きですが、今作もその救いのなさが強く印象に残りました。2015/05/30