内容説明
死体はあるのに犯人は捕まっていない、そんな事件が世の中には無数にある。そんなとき、事件の真相は死体だけが知っている。他にはなんの証拠も残っていない事件でも、死体はわれわれに事件の真相を雄弁に語りかけ、犯人を教えてくれる。長年監察医を務め、数多くの死体と事件に立ち向かってきた著者が、話題の事件の真相に斬り込む。
目次
第1章 「刺殺」事件を解読する
第2章 「腐敗」事件を解読する
第3章 「毒殺」事件を解読する
第4章 「射殺」事件を解読する
第5章 「溺死」「轢死」事件を解読する
第6章 「撲殺」「焼死」事件を解読する
著者等紹介
上野正彦[ウエノマサヒコ]
1929年、茨城県生まれ。医学博士。元東京都監察医務院長。54年、東邦医科大学卒業後、日本大学医学部法医学教室に入る。59年、東京都監察医務院監察医になり、84年、同院長に就任。89年、退官。現在は法医学評論家として執筆、テレビ出演など幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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saga
51
【再読】実際の事件を考察する著者の視点は流石の一言。ただし、現役時代に自ら解剖したという事件ではないため、真相究明には自ずと限界があったかも知れない。死因となった殺人方法を各章ごとに考察するのは斬新だ。映像化されたフィクションに出てくる死体に対する考察も、著者ならではだろう。映像クリエータ集団といえども、死体やそれに至る過程を実体験していないだろうし、著者のようなリアリティの再現は難しいことがよく分かった。2023/09/15
うさっち
26
実際に起きた有名な殺人事件からアニメ、映画などの死因まで解説。やはり死体演出にリアルさを求めるのは、監察医という職業病なのか(笑)紹介されていた死体描写がリアルだという映画を観る時にはドキドキしそう。2016/02/16
書の旅人
11
この様な内容の本に興味があるのは、やはり父のおかげだろう。かなりの読書家だったので、その知識は多岐に渡り、共通していた時代劇を解説付で観るのは、とても面白かった。殺陣のシーンでも、主役がバッサバッサと悪人を斬ってゆくが、実際は1~2人くらいで、刃こぼれや脂で斬れなくなるという。黒澤監督が『七人の侍』で、刀を幾本も用意するのは、そういう意味があるのかと感心したものだ。おかげで、本格時代劇以外の作品は興味がなくなってしまったが…。本書で検証している映画は、どれも観ているので、改めて見直してみたくなった2017/04/07
こうづき
4
死因別に色々な事件の死体について語りつつ、空想科学読本みたいにフィクション(映画、漫画……)の死体まで絞殺、じゃなかった考察しちゃう本(おちょくった語り口ですが嫌みはないです)。けっこう面白かった。読んでて思わず見たくなった映画がいくつか。2015/08/23
ゆるるん
4
死体の入門書と胸を張って言えます!人が死ぬとどうなるのか。一般人には見る機会があまりないものなので、どのような変化があるのか良く分かっていない人が多いと思います。心臓が止まった後の流血、死体の腐乱の工程などが分かりやすく書かれています。実際の事件を例として挙げているので、内容を近くに感じることが出来ました。こんな言い方もあれですが、著者の元職業である検屍官という立場から書かれているので、効率的かつバレにくい殺人方法も分かるかもです。こういう本読んで悪用しちゃダメだよ!死体に興味のある人にオススメします。2013/05/11