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出版社内容情報
ずっと、思っていた。この痣さえなくなれば、初鹿野の心を射止めることができると。「電話の女」はその夢を実現させてくれた。ただし、初鹿野と両想いになれなければ泡となって死ぬという条件つきで。
内容説明
ずっと、思っていた。この醜い痣さえなければ、初鹿野唯の心を射止めることができるかもしれないのに、と。「電話の女」の持ちかけた賭けに乗ったことで、僕の顔の痣は消えた。理想の姿を手に入れた僕は、その夜初鹿野と再会を果たす。しかし皮肉なことに、三年ぶりに再会した彼女の顔には、昨日までの僕と瓜二つの醜い痣があった。途方に暮れる僕に、電話の女は言う。このまま初鹿野の心を動かせなければ賭けは僕の負けとなり、そのとき僕は『人魚姫』と同じ結末を辿ることになるのだ、と。
著者等紹介
三秋縋[ミアキスガル]
1990年生まれ、岩手県出身の作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本
174
予想通りの部分もあったが予想外な部分も多く、終盤になるにつれて面白さが増していった。実際、上巻を読んでいるときはバッドエンドになりそうだなーとか思っていたけど結果的に大体丸く収まっててハッピーエンドに。著者の他の作品も読んでみたくなりました。2017/11/09
ひめありす@灯れ松明の火
101
私は人魚姫の物語が今も少し苦手だ。かなしくなっちゃうから。でも、幸福じゃないかもしれないけど。人魚姫は選んだ。意思を押し通した。この物語は結局みんなが人魚姫。正しい選択なんてそれぞれの持つフィルターが違うから全部違って。でもそれが奇跡の様に重なり合った『正しい夏』天体望遠鏡のピントがかちりと合うみたいに。夏の終わり、秋のはじめとも言えない季節に生まれてその年齢の最後を夏に迎える私が断言する。後悔しない夏なんてない。何回、何十回繰り返しても、『正しい夏』なんてない。だけど、季節の中で後悔するのは夏だけなんだ2016/02/20
ユザキ部長
90
そして彼女は人知れず海に飛び込んだ。相変わらずたった一行で破壊力ある展開に持っていく。大切な事は今目の前にいるこの子であって過去じゃない。わかっているけど過去と今のつながりのアンバランスさに戸惑う。いつまでも幸福の奴隷にいたい僕は丁寧に彼女との最期を暮らす。やっぱ女の子には敵わないや。2018/11/15
giant★killing
82
下巻。内容は右の頬にある痣を消してもらった代償に八月三十一日までに初鹿野の心を射止めなくてはならない陽介は、星を見るのが好きな彼女のために天体望遠鏡を持っている悪友檜原と悪人千草と共に四人で天体観測をすることになる。しかし初鹿野の気持ちは檜原に傾いていき、初鹿野に愛されたくて命を懸けていた陽介はいよいよ『人魚姫』の如く泡となって消えることを覚悟するが、八月十五日、初鹿野は人知れず海に飛び込み…。途中、陽介のあまりにも報われない残酷な現実に心が抉られました…。それだけに、ハッピーエンドで本当に良かった…。→2015/10/23
相田うえお
70
★★★★☆24082【僕が電話をかけていた場所 (三秋 縋さん)】上巻の『君が電話をかけていた場所』に続く下巻の『僕が〜』。不思議な事柄が複雑に絡み合ったストーリーなので先が気になってしまうんです。(未読の方には何のことやら?でしょうが)電話をしてきた女性は誰なのかは上巻から悶々としていましたが下巻のラストで明かされました、なるほど〜。初鹿野さんと洋介がハッピーエンドになってくれてよかったよ〜。結局のところ、千草という女性が重要な役割を果たす人物だったのかな。うん、これ、良かったです。2024/08/21