内容説明
裁判史料『清明集』を読み解いて新たな中国像にせまる。教化されるべき「愚民」たちの“利己”主張、かげで暗躍する訴訟ゴロ、金と権力にモノを言わせる士人・豪民、欲と得とがせめぎ合う裁きの場―中国人の苛烈な人間関係をあぶり出す。
目次
プロローグ 健訟の歴史世界
1 地方官の憂鬱―訟師・譁徒
2 処罰の前には試験を一題―士人・宗室
3 檻のなかの乱痴気騒ぎ―同悪相済あるいは為悪貫盈
4 取れるヤツからむしり取れ―欺凌孤寡
5 浮気女は射撃くらべの賞品―姦穢・乱倫
6 神さまの正体見たり―淫祀・邪教
7 やがて手が出る足が出る―闘殴・競渡
8 街かどのくらやみ―販生口・賭博
エピローグ 果てしなき乱痴騒ぎのかなた
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
韓信
2
訴訟ゴロ、ニセ宗室、人買い、悪徳胥吏、モノのように人手に渡っていく女、官人の出身母胎である豪民層の経済ヤクザっぷりなど、南宋時代の裁判史料『清明集』から、民衆の在り方や、豪民がヘゲモニーを握る地域社会の構造を明らかにする。いきいきと描き出される多様な人間関係は、「英雄豪傑が活躍する政治史」としての中国史にしか興味のない人にこそぜひ読んでほしい。社会史・民衆史の魅力にあふれる好著。しかし真実の究明や正義の貫徹よりも自己利益のための「利己」主張を事とする訴訟のあり方は、現在の中国にも通じるものがあるな。2012/09/27
ipusiron
0
2005/5/?読了
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