内容説明
十一歳のジェライザ=ローズは、母さんが死んだ後、父さんに連れられてテキサスのおばあちゃんの家にやってきた。勇ましく探検に出かける少女のお供は、首だけのバービー人形。ある日、原っぱの先で黒いワンピースの幽霊女に出会う。その瞬間、何かが、少しずつ、少しずつ動き始めた―。南部の乾ききった大地に現れる幻の干潟のように捕らえどころのない、孤独な少女のグロテスクなまでの空想世界。一度読むと、死ぬまで忘れられない強烈な印象を残す、今、世界で最も注目される若き天才作家の挑戦。
著者等紹介
カリン,ミッチ[カリン,ミッチ][Cullin,Mitch]
1968年ニューメキシコ州生まれ。小説“Whompyjawed”や“Branches”で高い評価を得、各誌紙に作品を発表している。ストーニー・ブルック短編小説賞のほか多くの賞を受賞
金原瑞人[カネハラミズヒト]
1945年岡山市生まれ。法政大学教授。翻訳家
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
83
南部ゴシック版『ずっとお城で暮らしている』。パパはオーヴァードーズで死んでしまい、天涯孤独になってしまったローズですが、友達(首だけのバービー人形たち)を連れて探検に出かけたり、亡き母から受けた虐待の日々を回想するなどと結構、強かです。彼女が自分で見た世界はとても奇妙だからだ。そんな彼女にも「人間」の友達ができるが・・・。特に軍隊蟻の頭部を引きちぎる、完膚なきに踏み潰す場面は子供時代の忌まわしきも懐かしい思い出を連想する人もいるでしょうね。2017/11/21
星落秋風五丈原
26
十一歳のジェライザ=ローズは、母さんが死んだ後、父さんに連れられてテキサスのおばあちゃんの家にやってきた。勇ましく探検に出かける少女のお供は、首だけのバービー人形。ある日、原っぱの先で黒いワンピースの幽霊女に出会う。その瞬間、何かが、少しずつ、少しずつ動き始めた。アメリカ南部特有のある種グロテスクで幻想的な雰囲気の中で展開する、死と狂気の物語。2005/01/02
ぽち
11
わたしは幼少期に「鏡の中のアリス」や「モモ」を読んでこなかったのである種の感覚というかセンス、没入する力が欠落している、発達していない人間なのだと思いこんでいたのだけれど、このめくるめくもしっとりと冷たく恐ろしい世界を彷徨することができた、金原瑞人さん翻訳のYA、牧歌的でファンタジーな世界を堪能できる!と喜んでいたのも束の間、恐ろしい気配が忍び寄ってきて・・・2017/12/24
自称海外小説で誰が誰だかわからなくなる君
6
ほぼ原作通りなのにこの気持ち悪い物語をさらに気持ち悪くしたギリアムは頭おかしい。2015/04/23
アルクシ・ガイ
4
「アリス」風の小説を読んでいると、いつのまにか期待している。どこかから「まともな」人間が現れて、綺麗さっぱり事態を収拾してくれないかと。母親と父親の死に「まともに」驚き、幼い女の子が一人暮らしなどできるはずがなかろうと「まともに」判断し、「まともな」施設なり里親なりを手配してほしい。そう願いながら終盤を読み進める。そして願いは叶った!まさかこの方角からとは予想していなかったが。2019/10/11