出版社内容情報
日本在住の米国人ジャーナリストが迫った
内容説明
東京のマフィア・ボスと呼ばれ、夜の六本木を支配した男ニコラ・ザペッティ。東京のヤミ社会、日本の暗部と深くかかわったこの男は、マフィア牛耳るイースト・ハーレムに産まれ、ボロもうけをもくろみGIとして東京に上陸した。つぎつぎと闇のベンチャーで成功するニコラのもとには、ありとあらゆる人種が集まった…政治家、ヤクザ、プロレスラー、高級娼婦、諜報部員…謎めいた力道山の死、ロッキード事件の裏舞台、そして経済ヤクザの暗躍―奇想天外、波瀾万丈のニコラの生涯が明らかにする、日本のアンダーワールド。
目次
第1章 焼け跡ヤミ市第一号
第2章 占領の後遺症
第3章 サクセス・ストーリー
第4章 オリンピック後のアングラ経済
第5章 ミス北海道
第6章 障子の陰で
第7章 富の大移動
第8章 黒い騎士
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobody
17
権力とは即ち天下をとったヤクザである。力道山主催の博打には警視庁の上層部が参加しエリート裁判官はヤミ被告に裁判戦術をアドバイスする。「ヤクザは自民党の一部である」(金融会社社長)。90年代以降の不況はヤクザ・リセッションであり、住専救済は地下社会の借金地獄救済であり、6千億ドルに上る不良債権の実態はヤクザ融資であり、東京佐川・皇民党事件をヤクザが収めようが、抗争で流れ弾を浴びようが、入院先で人違いで射殺されようが、日本人は差別やいじめ同様ヤクザを根絶する気はない。子供に正直に語れない社会はやめましょうや。2018/12/21
Nobu A
14
戦災で荒廃した東京にGIとして上陸。不良ガイジンが日米の政治家、企業幹部、ヤクザ等と関わりながらアングラ活動と数々のベンチャービジネスで巨万の富を築き、後は朽ち果てていく波乱万丈の人生。1960年後半、キャバレーミカドの描写にポケベル使用とある。サービス開始は1968年。その当時からホステスの使用は眉唾ものだと思い、ググってみるとなんと名刺サイズの無線ベルの記載がある。筆者の地道な多数の関係者へのインタビューと研究の賜物。正確な史実とは言い難いが、当時の東京の変貌ぶりを思い浮かべならとても興味深く読了。2020/01/03
mike101486
7
疲れたけれど読み応えあり。 気になった言葉:①日本のビジネスマンの弱点は、会社のためならなんでもやる事である。法律違反や刑務所行きも辞さない。動機は、会社への忠誠心や、干されることへの恐怖心。だから裏社会の人間はその弱みにつけ込みやすい。アメリカのビジネスマンは、私利私欲のために法律を犯すから尻尾を掴むのが難しい。 2020/08/16
ドッケン
6
ずっと読みたかったのですが、やっと読めました。戦後の東京、日本のリアルな復興を知ることができました。2023/01/21
リョウ
6
終戦後の混乱期、誰よりも早く設け話に目を付けた暗黒街の連中と、それを利用する連中。そのなかで、一人のイタリア系アメリカ人が運と実力で六本木の帝王と呼ばれるまでにのし上がっていく。一見、秩序だって見える東京の街も一歩裏に行けば地下勢力が跋扈している。「外人」の目からすれば奇妙な東京の姿がとりわけ目立って見えるのかもしれない。2020/12/01