出版社内容情報
チンパンジーとのコミュニケーションという高度な内容ながら、平易な文章で一般の人にも分かりやすく書かれた科学読み物。人類以外の動物の意識と心に対するコペルニクス的転回を問う、衝撃的な一作!
内容説明
われわれ人間と、チンパンジーのDNAは98%、一致する。彼らから学んだことは、はかりしれない―。喜び、哀しみ、友情、勇気、愛―心を揺さぶるすべての物語がここにある。
目次
第1部 生い立ちネバダ州リノ―1966‐1970(二人のチンパンジーの話;あかんぼうと家族;故郷はアフリカ ほか)
第2部 異郷での軋轢オクラホマ州ノーマン―1970‐1980(レモン博士の島;出張授業;自閉症と言語の起原 ほか)
第3部 安らぎの地を求めてワシントン州エレンズバーグ―1980‐1997(二人ふえて五人;話の種;極悪非道産業(モンキー・ビジネス) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんかい32
2
なんでこの本あんまり読まれてないの?絶版みたいだし。古本屋か図書館ででさがして読んでほしい。手話で話せるチンパンジーとの交流によって彼らの賢さと感情の豊かさを知った研究者が、彼らを実験動物としての悲惨な運命から守ろうと戦うさまを描いた自伝。物語としても感動的であるうえに、知的興奮にも満ちている。学術的に異論もあることは知っているが、本書を読む限り著者の主張にはかなりの説得力がある。2010/03/17
土橋俊寛
0
本書は著者のひとり、ロジャーの回顧録だ。ロジャーは人生の多くをチンパンジーと一緒に過ごしてきたのだが、きっかけは大学院の博士課程への進学だった。そこで著者が参加することになったのが、チンパンジーのワショーを人間の家族のもとで育てて手話を教えるという「ワショー計画」だ。 読んですぐに分かるとおり、本書は単なる回顧録ではない。科学的な知見を紹介する一般向けのサイエンス読み物であると同時に、科学の営みとは何なのかを読者に伝える啓蒙書でもある。そして何より、人間と動物の絆の物語である。多くの人に読んでほしい。2019/08/05