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内容説明
1996年、5月10日。南東稜からエヴェレスト登頂を果たした商業公募登山隊は、急激な天候悪化にみまわれ、完全に視界を奪われた状態で、死の領域を彷徨った。多数の命を奪った空白の数時間にいったいなにがあったのか。悲劇の予兆は登山家たちが入山する前からすでに始まっていた…。奇跡的な救助活動を単独で果たしたロシア人ガイドがすべてを語った衝撃のドキュメント。
目次
山に憑かれて
エヴェレストの誘惑
ビジネス
参加者たち
エヴェレストへの道
細部をつめる
ベースキャンプ
クンブから第二キャンプへ
第二キャンプ
兆し〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
53
この悲劇に対してクラカワーの「空へ」があるが真実は一つの面だけではないことを物語る一冊でした。「空へ」でやり玉にあがったマウンテン・マッドネス隊のブクレーエフが語ったもう一つの真実。商業登山の二隊を襲った悲劇の歯車はどこで崩れてしまったのか。デズゾーンに挑む人々は死を覚悟もしているだろうが連れて行ってくれる登山に世界一の称号を与える山の魅力に勝てなかったのだろう。たらればを語れば切りがないけど容易く臨む場所ではないのだ。「あとがき」で語られたブクレーエフの真摯な姿に同じ国に住むものとして感謝しかない。2024/02/02
James Hayashi
31
栗城史多氏を偲ぶ。96年に起こったエベレスト遭難をガイドの目から記録したもの。ジョン・クラッカワの「into thin air 」(空へ)でブクレーエフを批判したものがある。それへの反論も巻末で読める。事故の要因として商業公募隊という金さえ出せばという山登りになり身近になった事、天候変異、高度による高山症や低酸素によるミス判断、少ない人員と低予算、限られた時間などによる緊迫した登山など考えられる。1番のネックは何故午後2時を過ぎても山頂を目指したか?に尽きるだろう。2隊長とも登山に参加しており 続く→2018/05/26
ハッチ
19
★★★★☆1996年に起きたエヴェレストにおける多重遭難事故を題材にした回想録、ルポと行った感じの読み物。映画「エヴェレスト」が公開されてて、面白そうだったので史実となるものを読んでみた。あまり、勢い良く読めなかったが初めてこういう事実を知ったので登山に興味ある方は是非。2016/01/02
moe
12
同じ遭難事件を書いたジョン・クラカワーの「空へ」との読み比べ。クラカワーはツアーの顧客としての立場、ブグレーエフはツアーガイドとしての立場から書かれているため、個人的にはこちらの方が全体を見通せている気がしました。巻末の解説も良かったです。でも、読んでいて夢中になるのは「空へ」の方なのは、さすがジャーナリストのクラカワー氏の力でしょうか。2016/01/17
ふたば
10
全ての歯車が自分勝手にぎくしゃくと動いた。寄せ集めの力量も考え方も人種も何もかもが異なる、言わば烏合の衆の集まり。金を払って、世界の最高峰に『連れて行ってもらう』つもりの客。お世話してもらって当然。シェルパたちがルート工作をした後から現れて、用意されたルートを登る。体調の管理さえ自力でできない者もいる。前に進むべきかとどまるべきか、下山すべきかさえ判断できない者が多数いる。山を登るには、その山の鉄則がある。多少のずれはあっても撤退の時間は決まっている。それは、そこに行くすべての人間が知っている必要がある。2019/02/06
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