目次
第1章 おとぎ話
第2章 生物学と神話
第3章 原始人は形而上学者であった
第4章 神話の生成
第5章 意味を持たない象徴
第6章 聖なるものの世俗化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
抹茶モナカ
11
主に神話について、いろいろなアプローチで掘り下げた論文集。文学、心理学、文科人類学とキャンベルの知識が半端ではない。ひとりか、ふたりで、誰も踏み入っていない(思索の)森に踏み込んでいる人がいる、という筆致が、胸に熱いものを湧かせる。人文学部生だった学生時代に読んでたら、かなり、かぶれたろうな。2015/01/31
roughfractus02
8
神話学からは著者の神話解釈は恣意的とされ、アイルランド系アメリカ人のアメリカンドリームへの信頼が「英雄の旅」を神話から抽出したのだとする批判もある。が、著者は神話が過去ではなく常に今を生きる人々の行動規範となる元型として存在していると強調した点が重要に思える。人間の知の領域の限界(神)を垂直世界で示しつつ、直線上の時間に沿って水平的に物事の動きを記憶する人間の性質は、世俗化した神話としての物語に現存しているからだ。膨大な文献資料を列挙して進む本書の最後には「聖なるものの世俗化」という興味深い小論がある。2023/05/19
ひつまぶし
4
こんなわけの分からん本を翻訳した訳者はえらい。キャンベルが博識すぎてついていけない。話の筋が通っているのかどうかも判断できない。しかし、こういう議論があることを確認できたのはよかった。単に神話の話ではなく、人類学、精神分析、考古学などを総動員でこういうことを構想できてしまう人がいてこそだ。もしかするとこういう記述は一読して分かるはずもなく、それこそ意味ではなく象徴として理解していかなければならないものなのかもしれない。自分にとっても、読める読めない以前に、なぜこういう議論を求めたのかの方が大切な気がする。2024/06/30