内容説明
刃物を凶器とした、猟奇的な夫婦殺害事件が東京、豊島区で発生した。背中に包丁を突き立てられている被害者の傍らには、妊娠中の妻が胎児と共に腹部を引き裂かれ、無残にも殺されていた。警察は指紋と現場に残された芝居のチケットから、柴田真樹を犯人と断定し逮捕。動機は芝居をけなされたという単純なものだった。初公判の日、検察側の起訴状について裁判官から意見を求められた柴田は、大声で芝居の科白を発した。その行為に対し、国選弁護人は柴田の司法精神鑑定を裁判長に請求。鑑定書には、被告人は多重人格、つまり、本件犯行時における刑事責任能力はなしという鑑定が下されていた。警察は捜査を縮小、検察側もこの事件に見切りを付けようとしたその時、鑑定士の助手である小川香深がその鑑定結果に異を立てた―。「刑法第三十九条」の是非を世に問う、衝撃の問題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼのり
24
心神喪失者の不処罰および心神耗弱者の減刑を規定した刑法39条。そもそも明確な判断基準がない精神疾患。鑑定人によって異なる結果が出てしまう可能性は?犯人が精神疾患を偽装したら見破れるのだろうか?鑑定結果により無罪や減刑になったら被害者や家族たちは納得出来るはずがない。この法律を題材にした作品は多々あるけど、精神鑑定に趣を置いた作品は初めてだったし、ミステリーとしても面白かった^^ 欲を言えばどの場面も若干あっさりしてるので、もう少し掘り下げて読みたかったかなぁ〜 映画も早速観てみよう♪(2019-006)2019/01/06
Yumi Ozaki
3
映画を見て原作を読みたくなりました。殺人場面が怖かった・・・。2024/08/19
くまんちゅ
2
刑法第39条に問題提起をしている作品ですがミステリーとしても面白い。裁判における精神鑑定というものがいかに難しいか、鑑定人によって大きく診断結果が変わるケースがあるのも問題だと思う。しかし、現実に精神に病を持ったたために犯罪を犯してしまった人もいるわけだからこの問題は非常に難しい。これがベストだという答えはないのかもしれない。2010/07/13
kishi
2
面白かった!なかなか最後まで推理楽しめました。これは映画にもなったのね。映画も見たいと思いました。DVDで探そ。2010/04/18
ちるるる
1
今から14年ぐらい前になるのでしょうか?一人でこの映画を見に行きました。当時は本も買いました。今回図書館で久しぶりにこの本に出会い読んだのですが、内容を所々しか覚えておらず新鮮な気持ちで読みました。肉付けしてもっと長編にしても面白いんじゃないかなと思いました。2013/01/10