内容説明
二十六歳の新進作家浜洲淳一は、「島原の乱」を取材するために現地を訪れた。天草下島の本渡市に宿をとった彼は、宿の娘である志岐妙子との出会いに運命的なものを感じる。そして滞在中、夜毎、浜洲の床に妙子らしい妖艶な女が忍んで来るが、女は自分は天草四郎の侍女だという。時を超えて憑依が起きたのか、それとも妙子の演技なのか。やがて、「島原の乱」前後の秘話を記した古文書の内容をめぐって失踪事件が続く。まず地元の郷土史家が、そして神父が…。浜洲の奇怪な体験と、古文書に隠された秘話との関わりは。新感覚ミステリーの傑作。