内容説明
樋口丸男、弁護士。32歳、独身。新橋駅烏森口の事務所に、女性客が訪れることは、めったにない。樋口は女性が苦手だ。女性の傍にいるだけで汗が噴き出る。「助けてほしかった」と留守に電話してきた19歳の千鶴とは、昨夜、深夜スーパーで出会った。一本しかなかったナイフを譲った間柄だ。アタシ、東京ハートランドシティのローストラブに住んでるんだよ、といった簡単な会話をヒントに昏睡状態で倒れていた千鶴の所にかけつけた樋口は、力をこめて言い切った。「おじさんが必ず助けてやる」熱血漢で、正義漢。樋口弁護士シリーズ、表題作「東京ハートランドシティ」他、5篇。
目次
東京ハートランドシティ
錘の女
約束の地
危険なワナ
おしゃべり女
霧の岬