内容説明
時は天保の世。天下太平な江戸の街にたてつづけに起こった怪異―怪しい忍術遣い、謎の虚無僧、そして血を抜かれた女の死体。どうやらその陰にはオロシアから渡ってきた異国の妖怪ヴァムピール=さたんがいるらしい。謹厳な腕利き同心だった兄は魔性の手先と成り下がり、ほのかに思いを寄せる美しい兄嫁加津はさたんの手に落ちた。こうもりの異名を持つ貧乏侍・鉄太郎は、ヴァムピールを追う。剣術は苦手だが、夜になると剣の達人に変身するのだ。兄を正気に戻し、加追を救い出すことはできるのか。舞台は江戸から蝦夷へ。好評時代伝奇ロマン第2弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
紫
4
時代劇版吸血鬼小説の下巻であります。善悪に分かれた兄弟の対決は序盤であっさり片付いてしまい、敵の本拠地=蝦夷に乗り込んでの決戦もなんだかあっけない幕切れ。最終話は孫の代に時代は飛んで、日露戦争を背景にした吸血鬼追跡劇。けれども、ここでも吸血鬼はそれほど脅威の存在だったとは思われず、数万人単位で死者が出る戦争の方がずっと凄惨ではないかという印象になってしまっています。ラスプーチンなんかも登場して、物語の設定はよかったのにいろいろと残念なお話でした。いっそ二巻まるまる日露戦争編でよかったような。星4つ。2020/09/08
けいちゃっぷ
4
鉄太郎や仙三らは「ヴァムピール」=「さたん」を追い、蝦夷へ向かう。余分な描写をそぎ落とした文体はリズミカルで読みやすいですね。逆に物足りなさを感じないでもないですが。コクはないがキレがある、といったところでしょうか。182ページ2011/02/17
魔魔男爵
2
天保時代で開幕したこのシリーズだが、なんと、明治時代、日露戦争秘話として閉幕。吸血鬼と戦い続ける一族の話だとして落ちました。正紀版ジョジョの奇妙な冒険だったのか!?漫画や映画のお約束を破り、超絶能力対超絶能力にはならず、吸血鬼に対して駆逐艦で魚雷攻撃する最後の話がデラ燃える。ジャンル小説の様式美を破壊するさすが天才の正紀である。核攻撃する現代編や波動砲攻撃する未来編まで続いて欲しかった。2012/04/19
狂人29号
1
蝦夷へ去った、さたんを主人公たちが追う。 風光や、歴史描写には、説得力があるものの、 各事件が、あまりにあっさりすぎる。 とりわけ、さたんと、鉄太郎たちの対決は、短すぎた。2014/06/06
冬至楼均
1
ご本尊は結局江戸で何も出来ずに蝦夷へ引き返します。それを追う主人公。連れ去られた兄嫁を取り返しますが、因縁は孫の代まで続く。終わらない戦い。タイトルからして「地動説」と言う続編があったのかも。2012/06/30




