内容説明
前巻の物語から十五年―新珠尊之介のひとり息子・自天は、父親譲りの剣の腕と、優しい心を持つ少年に成長していた。尾張大納言義直は、尊之介を明国の王に、自天を南朝正統の天皇に据えるべく、正統天皇の証したる神器〈八坂瓊曲玉〉を捜し求めていたが、土蜘蛛の姿をした忍者の襲撃を受けて倒れ、再起不能となってしまう。だが、義直の熱情に心うたれた尊之介たちは、勾玉を求めて吉野山の奥深くへと分け入る―剣士と忍者が入り乱れ、空前の死闘が山を揺るがす。柳生兵庫対宗矩、尊之介対柳生十兵衛、そして忍者対忍者の壮絶な闘い。すべての宿命の対決はここに決着する。傑作剣豪小説、堂々の完結篇。