内容説明
天正9年8月、数百を越える高野聖の生首とその骸が、賀茂川を真紅に染めた。非情な大虐殺と掃討を繰り返す、みづちの若長〈信長〉は最後の1年を迎え、その傍らには影のように寄り添う美童・蘭丸の姿があった―。茫漠たる歴史のはてしない渦の中で、異形の運命の糸を紡ぐ多一郎…。大好評の外伝第3弾、いよいよ佳境へ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
25
蘭丸からの告白を受けて、蘭丸への愛を素直に伝えてしまう信長。もちろんここには、本伝における多一郎と、あえて名を伏せる人との関係性があってこそ成立する感情の交錯があって、栗本薫が歴史と戯れているわけではなく、あくまで本伝を補強するために歴史を借りているというところが正しい。「この世に起こり得ないことなど何もないさ」歴史を知っているからではなく、歴史を生きる中で初めての己の感情に触れる場面にこそ、この外伝が書かれた理由があるのではないか。2025/08/20
コロチャイ
20
多一郎の本音が描かれた一巻であったと思う。多一郎の神州に対する愛着、何が何でもクトゥルーから死守する気持ち。信長に憑依し行動する様、素晴らしいよね。蘭丸との出会いで、人を愛するという気持ちになれ、孤独からの脱却も図れました。神だけど、人間性溢れる外伝になりました。2024/02/11
Tanaka9999
5
3巻目。前半はまた話が滞っているかな、と思っていたのだが、すっと後半に繋がっていっている。しかしいかに光秀を謀反させるかという、なんか倒錯した感じがする。2018/07/25
二分五厘
0
1995.11.9