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出版社内容情報
スカイ河の彼方にあるウルタールの土地では、何人も猫を殺める事は許されぬと言う。
そのような法律が定められたのには、勿論理由がある――。
恐怖小説の王・H.P.ラヴクラフトが創造した異次元の世界・ドリームランド。
その夢幻境を舞台とした「ウルタールの猫」「セレファイス」「蕃神」の3篇を、名状し難い「クトゥルフ漫画家」がコミカライズ。
【手塚治虫文化賞】マンガ大賞最終候補、【米国アイズナー賞】ノミネート、【仏国アングレーム国際漫画祭】公式セレクション選出、【仏国Prix Asie de la Critique ACBD】受賞、【仏国DARUMA】最優秀作画賞・最優秀デザイン賞受賞、【米国ハーベイ賞】ノミネートほか、数々の賞賛を呼ぶ「ラヴクラフト傑作集」シリーズ、最新作。
●「ラヴクラフト傑作集」シリーズ
『ダニッチの怪』全3巻/『インスマスの影』全2巻/『クトゥルフの呼び声』/『時を超える影』全2巻/『狂気の山脈にて』全4巻/『魔犬』/『異世界の色彩』/『闇に這う者』
●田辺剛・好評既刊
『The Outsider 田辺剛 Extra Works』/『サウダージ』(作:カリブsong)
●コミックビーム 公式X(Twitter)
@COMIC_BEAM
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
54
セレファイス−クラネスが夢で訪れた憧れの都市、彼の日常や願望に照らし合わせると異世界転生は現実逃避のもうひとつの顔と思われる。ウルタールの猫−殺害と云う行為、禁忌を侵すことで究極の存在が姿を現すと考えたのであろうか?いや、どんな所であろうと猫を殺める事は許されない。蕃神−司祭は神々(大文字で書かれる神ではない)を視る為に旅立つが、その視たいと云う欲求は信仰の欠如以外の何者でもない。そしてその姿を暴くことで自身がそれを越える訳ではない。3篇ともラヴクラフトと云う原作者の精神的な虚弱体質を感じさせてやまない。2024/05/12
ぐうぐう
29
人はなぜ探求するのか。そもそも探求の先にある真理が、己を幸せにするとは限らないのに。それでも人は、真理を求め続ける。クトゥルフ神話のうち、ドリームランドを扱った三遍を収録した本書には、そんな真理を探求する人々の姿が描かれている。なぜ?という疑問に貫かれて真理を追う表題作はともかく、「セレファイス」と「蕃神」は救いを求めて人が過酷な旅に出ようとする。特に「セレファイス」に象徴されるように、それが寝ている間の夢の中にしか存在しない場所ともなれば、皮肉を通り過ぎて残酷ですらある。(つづく)2024/05/19
kei-zu
15
近作は複数巻にわたる長編が多かった本シリーズ。シリーズ当初を思い出す短編3作を収録。黒味が多い細密な描写で現実からの被膜の向こう側を今回も楽しませてくれます。表題の「ウルタール」は地名ですが、なんて魅力的な題名でしょう。2024/05/26
luadagua
13
ラヴクラフトの「ウルタールの猫」コミック化されているのを知らなかった。他「セレファイス」「蕃神」の3編が収録されており、短いながらも読み応えあり。「蕃神」は三浦健太郎作「ベルセルク」の蝕みたいな趣きの場面があり(もしかしてラヴクラフトが元ネタ?)と思ったのだけど、まずは原作を読みたいな。「ウルタールの猫」昨今虐待事件が多いので、猫ちゃんたちはこのくらいの仕返しはしてもいいんじゃないかな…と、不穏なことを考えてしまった。猫好きだからこそ書きたい、書けた物語ですよねラヴクラフトさん。2025/04/20
flatscan
6
この作家の名は以前から知ってたけどとりあえずスルーしてた。今回「ウルタールの猫」に惹かれて入手。結論。これは非常に良いものだった。「セレファイス」「ウルタールの猫」「蕃神」の3つを収録。まず表紙カバーイラストが非常に良い。カバー広げて飾りたいくらい。収録作は原作をそのまんま漫画にするのではなく、上手くアレンジしつつ綺麗にまとめてあって、原作抜きにしても良作。ホラーっぽい演出とか、前編後編の流れを上手く使って展開を盛り上げたり。作画が上手いのは勿論だが構成も素晴らしい。これは他の既刊も入手必至だわ。2024/06/02