出版社内容情報
とんちで知られる一休宗純。
その人生は波乱にみちたものであった。
将軍、天皇、僧侶、侍、民衆…さまざまな身分の人間の思惑が混ざりあい、混乱を極める室町時代。
高貴な身分でありながら出自を隠し、真剣に悟りを目指す一休宗純は迷いながら懸命に生きる。
矛盾と不条理と苦しみに満ちた世間のなかで、どのように生き、そして死ぬのかを考えるきっかけとなる傑作。
アングレーム国際漫画祭遺産賞を受賞し、世界からの評価が高まる坂口尚。
その遺作となる本作は、日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した幻の作品。
大判かつ高精細な印刷で、人生の指針を与えてくれる本作をお楽しみください。
第3巻で描かれるのは、真の悟りを得て風狂に生きることを選んだ一休。その世俗の中でもがき歩み続ける姿を直截に描く。
内容説明
第6代将軍となった足利義教は幕府の体制強化を図るも、徳政を求める土一揆が頻発。格差に追い詰められた民衆の怒りが爆発したのだ。混迷した世相の中で命の尊さは忘れ去られ、人々の苦しみは増すばかり。悟りを得るも印可証を拒否し、あえて俗世の飛び出した一休。それは自らの信じる純粋な禅、仏の道を突き詰めるためだ。卓越した知性と諧謔、そして優しくてまっすぐな心根から、身分を問わず敬慕を集める一休のもとにはたくさんの人々が訪れる。その人望を頼りに自然と集まった弟子たちと集雲庵に暮らしながら、彼なりの豪放で自由な修行にいそしむ日々。愛する母親の伊予局、尊敬する禅の師匠、父親である後小松法皇といった人々との悲しき別れを乗り越えて、悟りと迷いの境にある修行の道を一心に進むのであった。一方、兄弟子である養叟は一休が拒否した印可証を受け取ることで、華叟宗曇の後継となっていた。権力者や豪商に取り入り、富や権威を手に入れる養叟と一休の対立は深まっていく。去ることのない苦悩に満ちた世界であっても、民衆の中で欲望と現世を直視しながら生きる彼はさらなる風狂に踏み出していく。日本漫画家協会賞“優秀賞”作品。
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