出版社内容情報
毛塚 了一郎[ケヅカ リョウイチロウ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
66
一枚のレコードのむこうにはドラマがある。祖父の遺したレコード、禁じられた音楽への思い入れ、国境を越える海賊放送などなど、半世紀前の世界を背景に、レコードをめぐる青春の物語が展開される。CDやデジタル配信の時代をも乗り越えて、過ぎ去った時代のメディアだったはずが、今やその存在感によって地位を取り戻しつつある。あれは単なる音楽の入れ物ではなかった。音に変換する原理は簡単だが、専用の機械がないと再生できない。そんな間接性も、物語に奥の深さを生み出すのだろう。細かな線のタッチがノスタルジックな世界によく似合う。2022/12/27
1959のコールマン
56
☆5。表紙でピピッときた。XTC、Howlin' Wolf、Ornette Coleman、It's A Beautiful Day、Zombies、ムーンライダーズ・・・。早速購入して中身を読むとQuatermassがいきなり出てきたり、中身の無いレコードがByrdsの「The Notorious Byrd Brothers」だったり、むむ。おぬし、できるな(何がだ)。これでブラックミュージック系、ジャズ系を網羅していたらなあ、なんて思ったりして。あと、船での海賊ラジオは60年代が中心じゃなかったかな?2022/08/13
ワッピー
35
千石の無人古書店「ムジンレコーズ」で邂逅。祖父の遺産であるレコードから始まる麻耶奈の旅、旧連邦の思想統制と音楽ヘの渇望、禁断の音楽を鉄のカーテンの向こうに届ける海賊放送船、意外なセッションなど、レコードへの愛と渇望の5つの物語がどれもニクイ。CDが出たころはレコードは絶滅すると言われていましたが、今も命脈を保っている「音盤」の魅力と生命力には感嘆しきり。細密な絵と音盤愛と自分の心に鳴るBGMが心地よく、音盤界隈のご近所にある、とても危険なオーディオ沼をまた覗いてみたくなりました。くわばら、くわばら。2023/01/03
akihiko810/アカウント移行中
33
世界各国の、レコードやレコード屋にまつわるオムニバス漫画。7.5/10点 実際のレコードが出てくるのかと思いきや、架空の国、架空のレコードがでてきたので少し戸惑った。海上から海賊ラジオを流す「違法ラジオ船」なんてアイデアは面白いと思うけど(こんなのあるんだ!と心躍ったが、作者の創作だろう、さすがに)。 「青騎士」らしい緻密な画で楽しませてくれるが、とびぬけた作品ではない2024/03/09
kei-zu
30
読んでいる間、ずっと黒いレコードの匂いを感じていた。懐かしきドーナッツ版の縁と指を指でつまんで持ち上げるしぐさにドキドキ。パッケージメディアが担う「役割」って、あるよね。連作の物語を行きかう登場人物が世界観を深く豊かにしています。良作。2025/03/12