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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
53
【風をあつめて 蒼空を翔けたい】本書帯の松本隆による惹句では、<ねえ「細野」さん、ぼくらの歌が異国の少女の「イヤフォン」を通して、繊細な「孤独」を抱きしめたら。それって「素敵」だよね?>と煽っているが、見事な内容要約だと思う。『猫を棄てる 父親について語るとき』の表紙イラストで、この著者の存在を知ったが、下巻の帯で春樹が書いた、<高妍さんの絵には物語を広げていくための、自然な空気の通り道のようなものがあって、それが見る人の心に心地よい、そしてどこか懐かしい共感を呼び起こす>に、全面的同意。ポエジー風漫画。2023/04/29
konoha
43
絵がとても上手いし、日本の漫画と変わらない感覚で読める。台湾の大学生、林緑の生活が瑞々しく透明感がある絵で描かれる。風をあつめて、岩井俊二、村上春樹、岡崎京子など日本人以上に日本の文化への愛とリスペクトにあふれている。緑が親に内緒で東京に1人で旅立つ場面は父親とのやりとりが自分を見ているようで切なかった。台湾の空気や美しさ、アンダーグラウンドな文化、若者の孤独や切なさ、色んなものが詰まっていた。2023/05/15
akihiko810/アカウント移行中
34
台湾作家の漫画。村上春樹と細野晴臣を愛する台北の女子大学生・緑(リュ)の、恋愛の芽生えを繊細な筆致で描く。「2023 このマンガを読め!」2位。 9/10点 物語には大して起伏がないが、その分瑞々しく繊細な感性で描かれている。 村上春樹、細野晴臣、はっぴいえんど、ゆらゆら帝国と日本のサブカルチャーがふんだんに取り入れられ、私も主人公と同じように大学をさぼって本ばかり読んでいたので、異国でありながら、私と同じような青春を送っていた主人公と自分を重ねて読んだ。2023/10/12
ぐうぐう
32
『風をあつめて』『ノルウェイの森』『リリイ・シュシュのすべて』『リバーズ・エッジ』等々。これらがまるであたりまえのように、台湾に住む少年少女の部屋に存在する。これら日本の作品に、日本人と同じように心振るわせている彼女・彼を見ていると、物理的距離や人為的国境が一気に消失してしまう感覚にとらわれる。けれどそれは、大人になって観た『ロスト・イン・トランスレーション』で流れる『風をあつめて』にグッと来たことと、なんら変わらないではないか。(つづく)2023/01/21
ケイティ
31
作者は台湾人の漫画家でイラストレーター。台湾人の緑が日本の音楽や文化を通して、初めての新しい世界を開いていく、日本と台湾同時発売のコミック。高校生の時にふと聴いた、はっぴいえんどの『風をあつめて』がきっかけで、日本の音楽に興味を持った緑は、台北の大学に進むも悶々とする日々。バンドをやっている南竣と出会い、細野晴臣にひかれ、村上春樹を知る。みずみずしく甘酸っぱくて、もどかしいあの感覚が蘇ってくるような、とてもとてもよい作品。作品から溢れる純粋さに胸いっぱいになりました。2022/05/30