出版社内容情報
幼女(バケモノ)さえ抜け出せぬ混沌。療養・再装備のため、帝都へ帰還したレルゲン戦闘団。
そこで目にしたのは、死という非日常に慣れてしまった祖国の日常だった。
激烈に損耗し、閉塞感に囚われた帝国の世論は
あまりにも『勝利』を渇望してやまない。
そして新たにターニャに与えられた「無理」な仕事は、
潜水艦による敵戦隊の捜索撃滅。
秘密兵器はMAD手製の大型魚雷。
死力を燃やし尽くしてなお、その先にも暗闇が横たわる。
己に平穏を――。
ターニャのささやかな願望さえも、あまりに遠い。
出口のない戦争は激化の一途をたどる。
カルロ・ゼン[カルロ ゼン]
著・文・その他
篠月しのぶ[シノツキシノブ]
イラスト
内容説明
幼女(バケモノ)さえ抜け出せぬ混沌。出口のない戦争は激化の一途をたどる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
50
図書館本 他者を「ウォーモンガー(戦争狂)どもが!」思うターニャ デグレチャフ中佐。逆に自分がどう見られているか分かっていないのが笑えます。今回は人間魚雷に友好国訪問と大忙しでした。そんなターニャが夢見る印税生活(笑 しかし首都では不穏な空気が……まさか軍部によるクーデターが!?2020/12/14
鐵太郎
25
東西両戦線とも膠着状態に陥ったことで帝都ベルンに帰還できたレルゲン戦闘団。とはいえ東部でのアンドロメダ作戦の失敗で帝国の兵站の余裕はますますなくなり、もはや破綻寸前。だから終戦をと主張する軍部に、我々は勝利していると確信する政府は耳を貸さない。なにやら第二次大戦末期の某国の立場を入れ替えたような状態でありますが、良識を持っている参謀本部の苦衷という設定に苦笑いです。そんな中で行われたV-2号による203航空魔導大隊の戦いは、サービスでしょうか。さて、敵も味方も無茶苦茶な状態の中で、戦いの次の様相は如何に。2023/02/15
RASCAL
25
マッドサイエンティストの兵器で連合王国艦隊撃滅と相変わらずの悪魔っぷりのターニャの二○三航空魔導大隊だが、帝国は四面楚歌、戦線はもはや末期状態。でも政治屋も世論も現実を見れずに無理な要求を軍に課す。大日本帝国もかくやと思わせる帝国の現状に、ルーデルドルフやロメールの胸に去来するのはクーデター?となると、有効な実行部隊はターニャの魔導大隊をおいてない。さて、どうする、ターニャ?ということで次巻へ。いよいよクライマックスですかね。2019/02/02
ニゴディー
20
地味さと見せ場のバランスがちょうどよい。 文章も力が抜けててちょうどよい。 とびぬけたおもしろさがあるわけではないけど雰囲気含めてバランス的には一番好きな巻かも。2019/12/16
ぺぱごじら
17
北も西も東も敵。いよいよトチ狂って何をおっ始めるのかわからなくなってしまうのも現場を知らない方々がポピュリズムに酔って支配する「文民統制」。こうした流れを見ると、「2.26」や「戦前の社会環境」などの事情も違うものが見えてきそう。さて、こちらの「暴力装置」はいつまで「装置」に甘んじていられるのか。2018-32018/01/14