内容説明
不条理なことに遭遇したとき、人間はどのような行動をとるだろうか。落ち込む人もいれば、納得いかないと声を上げる人もいる。また、あまりのショックに死を選ぶ人もいるかもしれない。あえて説明のつかない行動をして心の暴走を止める、そんな人もいるだろう。自暴自棄におちいったとき、人はどんな行動をするのか、どうにもならない不条理に対してどんな抗議をするのか。誰にでも起こりうる「自暴自棄」の正体について、説き明かしていく。
目次
第１章 無力感について
第２章 自己嫌悪と気まずさ
第３章 羞恥心と怒り
第４章 決然と衝動
第５章 突飛と孤独
第６章 自殺の周辺
第７章 踏みとどまる、ということ
著者等紹介
春日武彦［カスガタケヒコ］
１９５１年京都府生まれ。精神科医。医学博士。日本医科大学卒業。産婦人科医から精神科医に転進。東京都精神保健福祉センター、都立松沢病院精神科部長、都立墨東病院神経科部長などを経て、現在、成仁病院顧問の立場で臨床および執筆を続ける（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ichiro-k
13
最近「読書欲」が減退。何事も億劫だ。気分転換に久しぶりにＴＶを観るが、内容がバカバカしくてなおさらシンドクなる。思い直して近所の本屋をぶらぶら。「もう、うんざりだ」というタイトルが目に付き購入。「鬱病」「統合失調症」などと書いてあり、少し不安になる。よく考えれば、少なからず誰でも当てはまるんじゃないの？・・と立ち直る。正直言って、精神疾患は周りのものがオロオロと振り回され、最悪は家庭崩壊だ。そんな家族に「自暴自棄」の反対は「深呼吸」とは・・・。著者はどうしたいの？こっちがウンザリだ。2011/08/28
Humbaba
6
今の社会は，残念ながらストレスに満ち溢れている．それを変える努力をすることはもちろん意味があるが，社会はそれほど急速に変わってはくれない．そのような急速な周囲の変化を望むのではなくて，自分はどうストレスに対処するかを学ぶことのほうが効果的である．2011/11/01
かめぱぱ
4
本の紹介が多くて、大丈夫か？と思いながら読んでた。第3コーナーまでは全く響かなかったけど、最後は少し参考になることもあり持ち直したかな。タイトルとはやや離れた印象。2016/12/05
春風
4
見事なブックガイド。2011/07/26
Sakie
3
医者が臨床症例ではなく、読んだ小説や著者自身の情動体験から考察するので、どこか淡々と読み進める。強烈に共感した自暴自棄は、他者への攻撃衝動の自分攻撃へのすり替えだ。まず自分と他者は思考の流れの中で容易に入れ替え得るという前提がある。他者を攻撃することは道徳観念などから躊躇われるので、代替として自他をすり替え、自分を攻撃することを同義として実行するのである。あえて自分の立場を蹂躙する振舞いを取ることもある。その瞬間には唯一の解決法？であるが、まあ見境を失った精神病理だわね。『自暴自棄』の反対語は『深呼吸』。2013/12/19
