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内容説明
平和の代償に日本人は何をなくしたのか?新しい日本の国家ビジョンそのヒントは「江戸」にある。日本が見失った大切なものを回復する試み。
目次
水村美苗と『本格小説』
第1部 失われた風景(自分の中の「原風景」;建物の外観は公共財;家路を求めて;東京散歩;地方の風景;景観の回復、「公」の回復)
第2部 失われたアイデンティティ(ナショナリズム;皇室の安泰;労働と実存;教育;グローバリゼーション)
第3部 日本の国家ビジョン(新しい「開かれた江戸」をめざして)
ブータン
著者等紹介
東郷和彦[トウゴウカズヒコ]
1945年生まれ。東京大学教養学部卒業後、外務省に入省。主にロシア関係部署を中心に条約局、経済局、欧亜局長などを経て、駐オランダ大使を最後に2002年に退官。その後、ライデン大学、プリンストン大学、淡江大学、カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校、ソウル国立大学、テンプル大学ジャパンキャンパスで教鞭をとり、現在は京都産業大学世界問題研究所長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
11
意外にも本屋でたくさん並んでるのに、このサイトで今まで誰も読了してないことに驚いた。内容は前半はエッセイ的な雰囲気で自分の思ったことを率直に書いている印象がある。後半になると自身の国家観を示している。確かに著者の言うように日本の国土、とりわけ景観は著しく損ねてきたが、そこに戦後日本の病理があるということに納得。文章は非常に自分の体験を語っているがフィクションのように読みやすくて良かった。2010/10/02
和草(にこぐさ)
10
もう少し人間的な内容があるのかと思ったけど、景観や環境が主な内容。海外に比較すると確かに日本は景観が損なわれている。高度成長期におけるビル群の乱立、景観を考えず建て景観には配慮がなかった。この本を読み、なぜ日本は海外の景観と比べると風情がないのか納得できた。2014/02/08
kochanosuke
9
最初の方だけ読んで、「だいたい後はこんなことがずっと書いてあるんだろうな。なんか文章も気取ってて好きじゃないし・・」って放っておいた本だけど、最後まで読んだら付箋もいっぱい付いたし、また再読したい本になってた。わからないものです。2012/04/01
脳疣沼
3
日本の景観の悪さは異常である。しかし、私たちはそれに慣れすぎていて、それに気づくことさえない。例えば電柱の多さと醜さは気になりだしたら止まらないぐらいだ。都心の一部は電柱がだいぶ少なくなっているが、それでも東京の観光名所とされているところなんかでも、上を見上げると蜘蛛の巣状態ということがよくあり、がっかりする。スカイツリーの建築技術は素晴らしいが、自然をそのまま残すための目に見えない技術にも注意を払いたい。経済も大切なので、東京がビルで埋め尽くされるのはしょうがないにしても、地方にはぜひ頑張って欲しい。2014/06/21
ceskepivo
3
「風景と公の心を持つ新しい日本のアイデンティティが生み出せるか否か」が著者の関心であり、「開かれた江戸」を主張する。著者は元役人であるが、役人らしくない分かりやすい文章で自論を展開する。「戦後日本が失ったものは、日本の自然とそれに調和してつくられてきた歴史的な風景であり、また、そういうものを大切にしていこうという日本人の心である。」(132頁)「戦後の日本の経済発展と民主主義の中で、個人の権利と生活の便益を上回る大切なもの、公の心とも言うべきものを、私たちは失ってきた」(224頁)には共感。2011/02/19