出版社内容情報
■第26回 山片蟠桃賞 受賞
■第1回 日本研究国際賞 受賞
自然に親しみを感じ、日常生活や文化のあらゆる場所において季節を重視する日本人。現実には、長く厳しい夏と冬、度重なる天災に悩まされてきたにもかかわらず、なぜ調和的な自然観が人びとの感性に根付いたのか。そして、権威ある和歌文学によって「あるべき四季と自然」像を構築した貴族たちは、いかにして絵や調度、衣装のなかに再現された「二次的自然」を愛でたのか。都市と里山の関係において育まれてきた自然観の系譜を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
33
2012年初出。日本文化は参加型の文化です(8頁)。秋は『万葉集』、『古今集』、勅撰和歌集において最重視された季節である(54頁)。「ものごとに 秋ぞ悲しき もみぢつつ 移ひゆくを かぎりと思へば」は、よみ人知らずの歌だた、うつろふは色が変わる、あせる(59頁)。しみじみとした趣が感じられる。鎌倉後期に京極為兼が編纂した『玉葉集』(1312年)では、季節の歌で自然の光が印象的に詠まれるのが大きな特徴(104頁)。菊は平安時代には秋の重要なイメージ。不死、清廉さ、皇室と強く結びつくようになる(179頁)。2021/09/17
むにぃ
2
日本文化の骨子となったのは和歌であり、和歌から広がった季節のイメージがあらゆる芸術にも展開され現代まで連綿と続いているー。日本人の季節観の体系的な理解が進む良書だった。非常に面白かった。 内容の理解のため,改めてノートにまとめておきたい。2021/04/18
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