角川選書<br> 洛中洛外図・舟木本を読む

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角川選書
洛中洛外図・舟木本を読む

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  • サイズ B6判/ページ数 276p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784047035645
  • NDC分類 721.4
  • Cコード C0321

出版社内容情報

ひときわ目立つ若松図の空間はなにを表すか? 絵画史料論の極致を展開!

数多い洛中洛外図のなかでも、国宝の上杉本、重要文化財の歴博甲本と並んで三大洛中洛外図屏風と称される東京国立博物館所蔵の舟木本。ほかの洛中洛外図と異なる大きな特徴は、岩佐又兵衛筆の躍動感溢れる人物群が織りなす絢爛豪華な画面構成である。ところがこの屏風は長い間又兵衛の作品とはされてこなかった。この魅力ある近世初期風俗画をあくまで又兵衛の作と考える筆者は、ではこれがいつ、誰の注文により、制作されたかを、もっぱら屏風に描かれた表現や事柄を精査・検証し、歴史史料と突き合わせる絵画史料論の手法によって、さまざまな謎を解き明かすことで、核心に迫っていく。

たとえば、その手がかりとして、描かれた六条柳町遊里の紺暖簾、方広寺豊国定舞台の能の演目、猪熊事件を思わせる若公家と上臈の姿、武家行列に視線を送る「かぶき者」の公家、二条城内での京都所司代板倉勝重の裁判、特徴的に描かれた9か所の若松図の空間、ひときわ目立つある人物表現の特異な筆致などの細部から読解を試みる。

筆者はこの屏風が描く光景は慶長19年6月~9月、方広寺梵鐘の鋳造以降のこととする。それは豊国定舞台で演じられている能の演目は従来「松風」とされてきたが、じつは「烏帽子折」であり、『梵舜日記』の演能記録8月19日と一致することであるとか、画面中央を貫く京都の二条通の大名行列は京都所司代板倉勝重の三男重昌であり、二条城そばの所司代役所での行事記録によって7月のことと裏付けられることなどによる。当時有名であった官女密通事件を思わせる画像、五条大橋の上で踊る老婆は豊国社の桜を持つおね、右左隻のあちこちにみえる「宝」「光」の文字、ほかの洛中洛外図には描かれたことのない9か所にもおよぶ「若松」図に囲まれた空間、六条三筋町の遊里・享楽空間との親和性と注文主とのかかわりなど、画面に描かれた多くの謎解きから慶長19年のものとして記憶される京都の時空間を歴史事実と重ね合わせて描き出す。

絵画の細部にまで注視し、史料による裏付けを行う著者ならではの、確信に満ちた初めての舟木本読解。

プロローグ 歴史のなかに舟木屏風を置く

1 舟木屏風の発見と美術史研究

2 紺暖簾と「吹上げ暖簾」―舟木屏風の表現技法

3 舟木屏風の視点・構図・描かれている事物―左隻と右隻

4 豊国定舞台の「烏帽子折」と桟敷―右隻の読解

5 猪熊事件・公家の放鷹禁止そして公家衆法度―左隻の読解

6 二条城へ向かう武家行列と五条橋上の乱舞―中心軸の読解

7 舟木屏風の注文主と岩佐又兵衛

エピローグ 京の町人と又兵衛が協作した舟木屏風

内容説明

この圧倒的な絵画空間は、いつ、誰の注文によって描かれたのか?それを六条柳町遊里の紺暖簾、方広寺豊国定舞台の能の演目、猪熊事件を思わせる若公家と上臈の姿、武家伝奏に視線を送る「かぶき者」の公家、二条城内での京都所司代板倉勝重の裁判、特徴的に描かれた9か所の若松の空間、ひときわ目立つ1人の人物表現の特異な筆致などの細部から読解。華麗な又兵衛ワールドの背景にある注文主の意図と制作年代が浮かび上がる。

目次

プロローグ 歴史のなかに舟木屏風を置く
1 舟木屏風の発見と美術史研究
2 紺暖簾と「吹上げ暖簾」―舟木屏風の表現技法
3 舟木屏風の視点・構図・描かれている事物―左隻と右隻
4 豊国定舞台の「烏帽子折」と桟敷―右隻の読解
5 猪熊事件・公家の放鷹禁止そして公家衆法度―左隻の読解
6 二条城へ向かう武家行列と五条橋上の乱舞―中心軸の読解
7 舟木屏風の注文主と岩佐又兵衛
エピローグ 京の町人と又兵衛が協作した舟木屏風

著者等紹介

黒田日出男[クロダヒデオ]
1943年生まれ。東京大学名誉教授。文学博士(早稲田大学)。東京大学史料編纂所教授・同所長・同附属画像史料解析センター長などを経て、立正大学教授・群馬県立歴史博物館長などを歴任。専門は、日本中世史と絵画史料論・歴史図像学など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

umeko

10
やり込められちゃった感は少し残るものの、面白かった。かなり細かい史実まで検証され、描かれた時代の世相が生々しく感じられる。2016/06/24

アメヲトコ

3
岩佐又兵衛の洛中洛外図舟木本は、いつ誰が何を描かせようとしたのか。細かい手がかりをもとに核心に迫っていく手法は、どこか叙述にテクニックを感じさせながらも、ついつい釣り込まれてしまいます。小島道裕説とは全く異なる結論が出てくるところが絵画史料の読解の面白さでしょうか。2016/06/20

chang_ume

2
再読。先行研究が乏しい「豊臣定舞台」(大仏殿裏に置かれた、豊臣政権の国立劇場的な常設能舞台)について、屏風中の演目復元が見事でした。さすがの東大史料編纂所。史料の探索と特定の過程がスリリングです。2016/04/30

Wataru Hoshii

2
黒田先生の、年に1冊の角川選書シリーズ最終作は、船木本洛中洛外図屏風。屏風の描写を丁寧に読み解き、注文主に迫っていく推理のプロセスはいつもながら緻密かつ大胆。従来言われていたような政治的対立が主題ではないという指摘、かなり具体的な事件を描き込んでいるという指摘が目から鱗で面白い。解読しきれていない部分もあり、推理の楽しみも残されている。次に船木本を実見するときが楽しみになった。2015/12/14

うしうし

2
舟木本が、美術史家辻惟雄から岩佐又兵衛の作と認定されるまでの研究史をたどるとともに、この屏風に描かれる二条城と方広寺大仏殿が徳川対豊臣の政治的な対峙・対抗を意図するものではなく、注文主を含む下京の人々にとって、法と秩序を維持する存在としての二条城、遊楽の場としての方広寺大仏殿であったと解釈。注文主は笹屋半四郎の祖父または父で、板倉勝重の屋敷に出入りしていた商人。完成時期は慶長19年(1614)8月19日以降、同年末頃に比定。屏風に描かれている様々な事象を詳細に、かつ大胆に解読してゆく姿勢は筆者独自のもの。2015/11/28

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