角川選書
平安朝 皇位継承の闇

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  • サイズ B6判/ページ数 207p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784047035508
  • NDC分類 210.36
  • Cコード C0321

内容説明

嵯峨天皇と皇位を巡って争乱を起こしたとされる平城天皇。宮中で殺人事件を起こして廃位されたとされる陽成天皇。神器を見ようとしたなど異常な行動が多かったとされる冷泉天皇。好色で奇矯な行動があったとされる花山天皇―。皇位を追われた天皇たちの説話を彩る奇行と暴虐、そして狂気に秘められた真実とは。皇統の謎と錯綜する政治状況を丁寧に繙き、正史では語られることがなかった平安朝の皇位継承の光と影に迫る!

目次

序章 武烈天皇の暴虐と新王朝
第1章 平城天皇と「薬子の変」(平城天皇の治世と「薬子の変」の実態;嵯峨皇統の確立と平安定都)
第2章 陽成天皇の行状説話(陽成天皇の人物像と退位;陽成天皇の行状説話;光孝・宇多皇統の確立と初期摂関政治の確立)
第3章 冷泉天皇の「狂気」説話(冷泉天皇の人物像と退位;冷泉天皇の「狂気」説話;両統迭立と後期摂関政治の開始)
第4章 花山天皇の「狂気」説話(花山天皇の人物像と退位;花山天皇の「狂気」説話;円融皇統と摂関家の確立)

著者等紹介

倉本一宏[クラモトカズヒロ]
1958年、三重県津市生まれ。東京大学文学部国史学専修課程卒業、同大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位修得退学。博士(文学、東京大学)。現在、国際日本文化研究センター教授。専門は日本古代政治史、古記録学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

22
「歴史は勝者が作り、文学は敗者が作る」大河で花山帝、院になっちゃったなあ…。平城帝陽成帝冷泉帝花山帝の「狂気の帝」四人を取り上げ、なぜ彼らが「狂気の帝」として祀り上げられたかを論じる本。彼らは狂気であったが故に退位させられ、皇統を嗣ぐことができなかったのではなく、皇統を嗣がせたくなかった勢力が彼らを退位させ、「狂気」の帝としたのである。北陸の一豪族(継体帝)がその正当性を塗布するために古事記日本書紀で造り上げたのと同様、藤原氏も物語でその正当性を塗布した。しかし長持ちだよね、両家ともに。物語は強い。2024/03/16

宇宙猫

22
★★★ 時の権力者達に不都合だったため短期間で退位させられた平城、陽成、冷泉、花山天皇。その皇統を抹消し自分たちに有利な皇統を残すため、これらの天皇の狂気が創作されたことを 様々な文献から推察。同じことを繰り返すので飽きてくる。順序などをもう少し整理したら読み易くなるんじゃないのかな。2021/06/22

yamahiko

21
倉本氏の歯切れの良い語り口に引き込まれました。さすが、古記録読みのスペシャリスト、平安朝における一次資料を丹念に読まなければ、通説紛いのことを俗説と切って捨てられないと感じました。2018/08/05

犬養三千代

9
歴史を改竄する。平城天皇、陽成天皇、冷泉天皇、花山天皇これらの天皇は皇統を交替させる為に無理やり退位させられたばかりでなく「狂気」狂った人というレッテル張りをされたという。勝者が歴史書ばかりではなく説話文学まで改竄する。 「旅の空 夜半の煙と のぼりなば あまの藻塩火 たくかとや見ん」など和歌、風雅の道をのこしたことがせめてもの救いかなと思う。2019/11/20

T66

8
マニアックだけど面白かった!「新・紫式部日記」で、源氏物語の中の冷泉天皇の描きかたのあたりが面白かったので読んでみた。やはりドロドロしてるんだ、という考えみたら当たり前のことに気づく。平安時代、みんながみんな雅に歌を作ってただけ、のわけではないよねえ。そして、のちに残る書物が、書き手の都合のよいように書かれるのと、「説話集や歴史物語を使用して歴史叙述を行うという著述態度もまた、平安時代時代史研究の基本姿勢として、多くの研究者に受け継がれてしまうことになったのである」が驚き。2020/07/11

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