角川選書<br> 後鳥羽上皇―新古今集はなにを語るか

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角川選書
後鳥羽上皇―新古今集はなにを語るか

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  • サイズ B6判/ページ数 368p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784047035065
  • NDC分類 911.142
  • Cコード C0321

出版社内容情報

後鳥羽はなにを「和歌の力」に頼んだか?新古今集成立の背景と史実を探る!

幕府討滅計画=承久の乱で知られる後鳥羽上皇は、なぜ『新古今和歌集』の勅撰にあれほどの心血を注いだのか。幕府の「武」に対し、これを圧倒する文化統治として「和歌の力」を位置づけた上皇の足跡と史実を描く。

内容説明

神器なき帝、後鳥羽上皇はなぜ若くして短期間に『新古今集』を編むことができたのか。そこには王権を高揚させる強力な文化統治の手段として和歌・勅撰集を位置づけ、幕府を凌駕し、「武」を圧倒しようとした上皇の強い意志があった。この『新古今集』成立にいたる道筋を、歌会・歌合の記録や撰集の過程から詳細に跡づけ、朝幕関係を含んだ複雑な史実とともに丹念に描き出し、武家政権下の王と「和歌の力」を浮き彫りにする。

目次

1 激動の時代を経て(神器なしの王位;自立への道;政治の劇変)
2 王と和歌文化(後鳥羽院政;百首歌を詠む;和歌を詠む喜び;勅撰集を見据えて)
3 勅撰和歌集の構想(文化統合;撰集の開始;目標を定める;壁にあたる)
4 新古今和歌集の成立(撰集の山場;新古今和歌集の成立へ;新古今和歌集の奏覧)

著者等紹介

五味文彦[ゴミフミヒコ]
1946年生まれ。放送大学教授、東京大学名誉教授。東京大学文学部教授を経て現職。日本中世史専攻。『中世のことばと絵』(中公新書)でサントリー学芸賞、『書物の中世史』(みすず書房)で角川源義賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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クラムボン

13
後鳥羽上皇が「新古今和歌集」を編纂するまでの経過を、当代の歌人を論じた「後鳥羽院御口伝」、側近の「源家長日記」、編者の一人藤原定家の「明月記」などを資料として読み解いています。著者の五味さんは「歴史家にとって苦手な和歌という壁がある。」と述べている。それでも歴史家の手になる伝記が期待されていると言う自負が「新古今集」と本格的に格闘させたのだろう。上皇は千五百番歌合(うたあわせ)など頻繁に主催し、歌人の力量や批評力を試し、己の歌人としての技も磨いていった。それらがやがて勅撰集として実を結んだようだ。2022/08/05

左近

2
なぜ天皇という存在が続いたのかを考える時そのシステムに目が行きがちだが、政治も歴史も人間のつくるものなのだから一人一人の天皇の能力やキャラクターも考慮に入れるべきと気付いた。上皇は武士という新しい身分が台頭し、まだ朝廷との力関係が定まっていない中、様々な立場の人間とパイプを結び、また、年月の積み重ねがものを言う文化を武器にして権威を表すことで自らの意志する統治を進めていった。2018/02/01

rbyawa

2
g069、大雑把に後鳥羽上皇というのは(天皇位にあった時よりも上皇位にあるほうが政治力が増すので院政敷いた人は上皇として呼ばれることが多い)、源平の争いの末に幼い安徳天皇が三種の神器と共に沈み、その代打のようにして即位した天皇で、むしろ和歌を育てようとしている姿勢から見ても統治能力に欠けた人であるという印象はないかなぁ。ただ、好悪感情が激しくて好意でも悪意でもたまに問題を起こしているといったところ、しかしこの本では、本当に和歌を作って次の代につないでるようにしか見えないw 他の本で間についてをつなぐかな。2016/07/23

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