出版社内容情報
所在地論の謎がこれで氷解する! 東アジア考古学で探る卑弥呼・邪馬台国。
中国洛陽から方万里の外は、夷狄の世界とされた3世紀東アジア。現在の中国東北部、朝鮮半島など「東夷」の国々の考古学的な新知見と『魏志』の世界観から、邪馬台国論争に決着をつけ、倭国の新たな歴史像を描く。
内容説明
九州説か畿内説か。『三国志』東夷伝倭人条(「魏志倭人伝」)の解釈から、数多くの議論がなされてきた邪馬台国論争。本書では、まずこの東夷伝がそもそもどんな天下観で記されたものかをはじめて解明。従来の「解釈」に決定的な楔を打つとともに、3世紀東夷諸国の境域・王都・墳墓・遺物などと邪馬台国との関連を考古学的に論証。卑弥呼=箸墓古墳説の補強、難升米=黒塚古墳の新説を展開し、東夷伝の新たな世界を描く。
目次
第1章 魏志東夷伝と天下観念
第2章 東夷伝の国々―その王都と境域
第3章 洛陽・帯方郡・倭
第4章 韓の辰王と倭の卑弥呼―月支国・狗耶韓国・邪馬台国
第5章 帯方郡から万二千余里―邪馬台国へ
第6章 邪馬台国への道―洛陽から万七千余里
第7章 倭国王と邪馬台国王―邪馬台国に存在した二系列の王
第8章 巨大前方後円墳と東アジアの王陵
著者等紹介
東潮[アズマウシオ]
1946年生まれ。徳島大学大学院教授。文学博士(九州大学)。専攻は東アジア考古学。九州大学大学院文学研究科博士課程修了。奈良県立橿原考古学研究所主任研究員を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
9
韓国をはさんだ中国との綱引きというと、日清戦争/文禄・慶長の役/元寇と遡っていくわけだが、最初は白村江なのだとずっと思っていた。しかし、よく考えてみると志賀島の金印は1世紀のものなのだから、その後白村江までの500年間もずっと交流があったのだ。https://bit.ly/2DkBgP2 をみると「卑弥呼の墓に金印が眠っている可能性は少ない」とあるが、著者の言うように西殿塚古墳が後継者の台与の墓だとすれば、ここを掘ったら「親魏倭王」の印綬が出て来たりするんだろうか。2018/11/05
Seizou Ikeda
2
邪馬台国を考察するに、「倭人伝」を『三国志』巻三十 烏丸鮮卑東夷伝倭人条という観点から捉え、現在の中国、中国東北部、朝鮮、日本に至る国々に関する記述を追いながら、邪馬台国を纏向遺跡、箸墓を卑弥呼の墓と断定する。 1~5世紀の国際情勢、地誌、世界観を追いながら自説を作り上げている。 唯、執筆を急いだせいか、記述される内容はあまり整理されているとはいえず、研究ノートや、カードをこの一冊にそのまま投げ込んだような感じを受ける。 主語のない文章が多いこともこの本を読みづらいものにしている。 2012/09/01