内容説明
松江、熊本、東京…英語教師として日本各地を訪ね歩いたラフカディオ・ハーン。故郷のギリシアや仕事を求めたアメリカで傷ついたハーンは、特派員の職を得て憧れの日本にたどり着いた。日本人の善良さ、辛抱強さ、素朴な心と繊細な文化を愛する一方で、西洋化を推し進める新しい日本に幻滅し、批判を強めていく。彼が残した手紙や講義録、昔話に材を得た「雪女」「むじな」などの作品からその素顔と心の軌跡を描き出す。
目次
第1章 ハーンの日本発見―漂泊・幽霊・Old Japan(日本への旅―何に傷つき、何を恐れたのか;日本との出合い―「永遠の日本」というヴィジョン;ハーンと松江―主題の発見;二つの日本―松江から熊本へ;なぜ熊本を去ったのか―教師としての挫折)
第2章 教育者としてのハーン―想像力・共感・霊性(英語教師としてのハーン―教育理念と指導法をめぐって;教育における想像力とは何か―日本人の「非個性」と教科書問題;語り部のかたりなす文学講義―『文学の解釈』について;ghostlyなものの響き合い―創作と講義の関連性)
第3章 ハーンが現代に語りかけるもの―共生・循環・アニミズム(ハーン文学が語りかけるもの―『怪談』と自伝的断篇をめぐって;夢の小宇宙としての再話文学―『異文学遺聞』から『怪談』へ;永遠に女性的なるものをめぐって―東西の美意識を比較しつつ;妖精たちの棲むところ―『怪談』に描かれた女性像)
著者等紹介
池田雅之[イケダマサユキ]
三重県尾鷲市生まれ。早稲田大学社会科学総合学術院教授。同国際言語文化研究所所長。比較文学専攻。NPO法人「鎌倉てらこや」理事長。その社会貢献活動に対して、博報賞ならびに文部科学大臣奨励賞を授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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