内容説明
6世紀末の大王推古から8世紀の称徳天皇まで、150年間に8代6人が即位した「女帝の世紀」。この時代に多発した政争の遠因は、白村江の戦い・壬申の乱という古代史上最大の外征と内乱にあった。宣命で「ミオヤ」「ワガコ」と呼びかけ、擬制を含む父母子関係を結び、男女の性差よりも年齢・資質を重視した古代の皇位継承のシステムを提起。藤原氏ではなく、王権を主体とした新たな奈良時代史像を描く。
目次
第1章 奈良時代史の枠組みへの疑問―女帝は中継ぎか
第2章 「臨朝称制」―女帝出現の前提
第3章 「ミオヤ」と「ワガコ」―皇統譜上の女帝
第4章 「政の要は軍事なり」―対外戦争の敗北と軍国体制の整備
第5章 「長屋王、国家を傾けんと欲す」―内乱の勝利と功臣の処遇問題
第6章 「藤原夫人を皇后と定め賜う」―転換期としての聖武朝
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫草
3
読みながら「なんで?」「そこの所もう少し説明して」って思うところがたくさんあり、私の前提となる知識の不足か、理解力が足りないのか、通説と異なる説へ対応できない頭の硬さなのか、筆者の論に何か不足があるのか、多分どれも全部あるのかもしれないけど、なかなか難しかった。これを踏まえた上での他の先生の説などもさらに読んでみたいです。2020/02/11
のぶさん
2
著者は奈良時代を、藤原氏が他氏族を陰謀によって蹴落としていく時代ではなく、壬申の功臣(皇親を含む)中心の政治から律令制確立に向けた政争の時代であると位置付ける。また、皇位は、天皇皇后から皇太子夫妻に引き継がれ、男女にはあまりこだわりがないという説を立てている。前者の見方は外位の位置付けや長屋王の変の解釈などが面白かった。ただ聖武天皇ってそんなに政治的意志のあった人なのかなとは思う。後者は仮説としてはユニークだが、納得できるほどの根拠を感じなかった。2011/03/25
ゆずこまめ
1
過去ずっと男系相続で皇室が続いてきたわけではかならずないんだなと思った。2021/01/12
まっしゅ
1
不改常典についての説明が多くの矛盾を残したままなので、土台がそれではもちろん「ミオヤ」「ワガコ」の説明も納得のいくものになっていない、と私は感じた。2010/05/22
涼
0
課題図書として読み始めた。前提としての知識が自らに乏しく、理解できないところも多かった。(2017/5/24~26)長らく途絶えていた読書習慣を復活させたい。2017/05/29