内容説明
江戸歌舞伎最盛期の18世紀半ば、おびただしい数の役者評判記が刊行され、その妻たちについても「役者女房評判記」が出されるなど、芝居人気の沸騰ぶりにはすさまじいものがあった。本書では、当時の劇界を支え、騒がせ、動かした、五代目市川団十郎の妻、愛人、継母の3人の女に焦点を合わせ、江戸歌舞伎界をゆるがしたスキャンダルと、その背後の人間模様を活写。女たちに視点をすえた芝居世界の社会と文化を描き出す。
目次
第1部 『役者女房評判記』の世界(日本で一番古いゴシップ誌;役者をとりまく女たち;宝暦期の人気役者)
第2部 五代目団十郎の妻と愛人(五代目団十郎の妻お亀;五代目団十郎の愛人お砂)
第3部 お松のスキャンダル(お松の横顔;お松が育てた役者たち;お松の起こしたスキャンダル)
著者等紹介
武井協三[タケイキョウゾウ]
1946年、京都生まれ。早稲田大学大学院演劇専攻修士課程修了。専門は日本近世演劇(歌舞伎・人形浄瑠璃)。園田学園女子大学助教授を経て、現在は国文学研究資料館教授、総合研究大学院大学教授(併任)。その間にロンドン大学客員教授。文学博士。著書に『若衆歌舞伎・野郎歌舞伎の研究』(八木書店、第三十三回日本演劇学会河竹賞)などがある
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感想・レビュー
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sawa
3
★★★☆☆ 「江戸歌舞伎を女たちがどう見たか」という内容ではなく、役者の妻、母、愛人などの身近な女たちについて書かれた本。役者の女房の批評集なんて面白い本が江戸時代にあったなんてびっくり。18世紀後半の役者の話が中心なのだが、たくさん出てくるので事前知識がないと分かりづらい。松井今朝子の『仲蔵狂乱』がちょうどこの年代が舞台。読み直そう。ここに書かれているように、確か五代目團十郎と四代目幸四郎の確執も描かれていたんじゃないかしら…(曖昧)。(図)2011/06/28
takao
2
ふむ2024/11/03
星落秋風五丈原
2
江戸歌舞伎最盛期の18世紀半ば、おびただしい数の役者評判記が刊行され、その妻たちについても「役者女房評判記」が出されるなど、芝居人気の沸騰ぶりにはすさまじいものがあった。本書では、当時の劇界を支え、騒がせ、動かした、五代目市川団十郎の妻、愛人、継母の3人の女に焦点を合わせ、江戸歌舞伎界をゆるがしたスキャンダルと、その背後の人間模様を活写。女たちに視点をすえた芝居世界の社会と文化を描き出す。2006/01/31