内容説明
日本に顕著な都優越・鄙蔑視の意識・価値観は、なぜ生れ、どのようなものだったのか。古代国家における地方の拠点・国府跡を踏査し、現在に残る良吏伝説、「分憂」の吏の心情から、都鄙意識の本質を探る。従来の理解では橘行平が悪人と断罪される「因幡殺人事件」を刺激的な推理で解釈し、そこに凝縮された王朝の政治世界を解明。受領たちが果たした役割を通して中央と地方の関係を明らかにする、王朝都鄙論。
目次
序章 国府研究事始め、また王朝都鄙論
第1章 首名伝説を歩く―古代の文明開化
第2章 客居の詩―国守菅原道真の歎き
第3章 因幡殺人事件―橘行平はなにをしたのか
第4章 印鎰を奪う―日常化された反乱
第5章 国庁神社の系譜―惣社とはなにか
第6章 境に入れば風を問え―峠の政治力学
結章 国府祭―中世への移行を見る