内容説明
日本近代文学を代表する作家、夏目漱石は多くの俳句を残している。そのうち、明治36年(1903)にロンドン留学から帰国し、大学や高等学校で教鞭をとりながら、小説を書きはじめたころからの句作を通して、漱石の人となりとおなじみの小説の背景を探る。『坊っちゃん』のお清のモデルはだれか、『草枕』はなぜ“俳句的小説”なのか、『虞美人草』を書くときの漱石の意気ごみやいかに。また、謡曲をうなり、飯蛸に目がない文豪の好ましい一面をのぞかせる。“歴史探偵”が案内する俳句と文学の軽妙かつ痛快なエッセイ。
目次
まったく無能な教師なり
シェイクスピアに張り合って
英文学者の漢詩好き
「狐鼠々々、烏鷺々々」した話
「古池や」をめぐって
米山天然居士の「墓」
『草枕』の隠し味
是は几董調である
命のやりとりをする精神で
『虞美人草』のはじめと終り〔ほか〕