内容説明
武士は、武力や暴力を背景として政権を握ることができたが、その属性を抑えなければ七百年間もの長期にわたって政権を維持することは不可能であった。殺生を業とした武士だが、武芸に励む武士ばかりでなく、弓矢を捨て、信仰を求めて遁生者となる武士もあった。絵巻『男衾三郎絵詞』をはじめ、説話集、御伽草子、記録、文書などの史料のなかに武士の姿を探り、兵(つわもの)、武士(もののふ)、賊(徒衆)、聖(道者)など多様な中世武士の姿を浮き彫りにする。
目次
序章 武士の群像
第1章 自立と従属
第2章 武家と武士
第3章 宝を求めて
第4章 信仰を求めて
終章 武士の行方