内容説明
日本人の仏教は日本人の固有の宗教観や庶民信仰をもとに成立していった。聖徳太子からはじまり、明治の排仏毀釈にいたる、この一貫した日本仏教の流れを、日常的観都からとらえ、宗派の教義や歴史におわらない、新たな仏教史の試みである。
目次
神と仏
聖徳太子と夢殿
奈良の聖たち
山岳仏教と密教
慈覚大師と山の念仏
理源大師と大峯修験道
空也と茶筅
橋の観進
物詣と巡礼
熊野信仰と阿弥陀如来
観進聖、西行と重源
能声の念仏と法然・親鸞
明恵上人と華厳縁起絵巻
法燈国師の念仏と虚無僧
円覚上人道御と壬生狂言
一遍の遊行と踊念仏
日蓮の神性と人間性
南北朝史と山伏
室町時代の仏教と神道
一体禅師と『狂雲集』
真盛上人と常念仏
中世の禅宗と放下・暮露
弾誓上人の仏頭伝授
袋中上人と『琉球神道記』
お国歌舞伎と念仏踊
円空と庶民の仏教
本喰行道の島渡り
神仏分離と庶民信仰
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AR読書記録
1
まず,もともと学問的な“仏教史”という視点で仏教を見ておらず,庶民的感覚としての仏教観を多少しか持っていなかったので,すんなりと入ってくる.というか,こういうことを“新たな視点“として打ち出さねばならないほど,仏教史学は一面的なものだったんでしょうか.うむぅ.学校で習い名前や事績を聞いたことのある高僧の知らなかった面や,ほとんど知らなかった,でも大きな足跡を残している僧やその活動についてなどで,へえぇ,と思うことは多い.そのレベルでの学びもあるし,「日本人と仏教」というテーマが考えるよい素材でもある.2013/01/15
rbyawa
0
h038、要するにこの本で語られている「民衆史が完全に無視され、権力の観点や有名人のみで通史が語られているきらいがある」というのは既存の歴史ジャンルにも共通する事情でもって、要するに歴史書の有無と歴史書に頼るしかなかった、ということを考えるとある程度は仕方ないことなので若干共感しずらく。それと個人的に、建築史と仏像研究がある程度カバーしてくれている印象があったので、その辺に触れてくれていないのが若干残念ではあったかな。どちらかというと歴史そのものの知識がある程度あって仏教史を知らないほうが読みやすいかな。2017/03/17