出版社内容情報
権力に抵抗する民衆の祭り、この広く知られる祇園祭のイメージは、どこから来たのか。戦国の世の「冬の祇園祭」にはどんな意味が隠されているのか。京都の町衆と社寺、室町幕府との関係から中世社会の実像に迫る。
内容説明
京都の夏の風物詩、祗園祭。しかし、この夏を代表する祭礼である祗園祭が、中世・戦国時代には真冬に行われたことがあった。また祗園祭は、一般に京都の町衆の祭、あるいは権力に抵抗する民衆の祭というイメージが広く流布しているが、それはなぜか。これらの疑問を出発点として、中世祭礼としての祗園祭の実態に迫り、戦国京都を舞台に繰り広げられた、京の町衆、比叡山延暦寺などの社寺、室町幕府との関係など、祗園祭をめぐるさまざまな視角から、中世社会の実相を描く。
目次
第1章 イメージとしての祗園祭(紙芝居「祗園祭」;小説『祗園祭』と映画『祗園祭』)
第2章 天文二年の祗園祭(天文元年~二年六月の政治状況;天文二年の祗園祭)
第3章 室町幕府にとっての祗園祭(祗園祭の再興;幕府と祗園祭)
第4章 延暦寺大衆にとっての祗園祭(日吉社の祭礼と祗園祭;延暦寺大衆と祗園祭)
第5章 神輿と山鉾の祗園祭(神輿渡御;山鉾巡行)
著者等紹介
河内将芳[カワウチマサヨシ]
1963年生。奈良大学文学部史学科准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士。日本中世史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
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とし
4
戦国時代の祇園祭についての研究書。神輿渡御と山鉾巡行の違いをまず教えられ、祭りの実態、その主催者と主体、その運営を維持するためのシステムなどを、現存する史料を基に詳細に考察する。いろいろ知れて面白かった。祇園祭は、比叡山が信長によって滅ぼされた後に、真の意味での民衆の祭りになったのだね。2015/04/20
アメヲトコ
2
「町衆が権力に抵抗して守り続けてきた祭」といった、巷間に流布する祇園祭イメージを批判し、二項対立を超えた複雑な関係性を明らかにしようとした一冊。やはり中世祇園祭にとって比叡山の存在がいかに大きかったかがよく分かります。2015/02/18
rbyawa
0
g085、扱われている時代は主に応仁の乱ののち、確かにこの時期から様々な混乱はあったものの、旧来言われているように必ずしも戦火で焼け落ちたわけではない、ということも同時に知れるんじゃないかなこれ。祇園祭は京都で一番大きな祭りであるものの、比叡山が先に祭事を行う必要があり、たびたび差し止められていた、というのは、ちょっとこの本を読んだだけでは意味わかりにくかったかな。正直こう、あちらさんは寺…だよね? 末寺になっていたのなら意味はわかるんですが、純粋に行事に関しての事情だったのかなぁ、祇園祭の本も読むかな。2016/09/09
ともなりたすく
0
フォロワーさんいわく「河内先生仕事早すぎて複数人居る説あるから」ってまじですか2015/07/13
38
0
今日は山鉾巡行、改めて祇園祭の歴史をふりかえってみました!京都にずっと住んでいたのに、知らないことばかりで、勉強になりました。2012/07/17