出版社内容情報
地名を史料として歴史学に大いに活用したいと願う著者。失われゆく全国各地の地名を踏査し、地名を通して地域のい歴史の復元を試みる。実践的研究方法を提示し、今後の地名研究の可能性を探る。
内容説明
地名によって人間の暮らしを考え、復原することができる。著者はそう考え、地名を歴史研究の大切な史料と位置付けその研究を進めている。急激に変貌を続ける日本。失われつつある地名を全国の農村、山村、漁村とあらゆる地域に訪ね、現地に足を運び、古老からの聞取りを丹念に行い、一方で文献史料につきあわせ、地域の歴史と景観の復原を試みる。本書は、その実践的研究の足跡をまとめ、今後の地名研究の学問的可能性を探る意欲作。
目次
序章 地名の解釈法
第1章 地名の史料学
第2章 地名を歩く
第3章 歴史地図の読解
第4章 地名による歴史叙述
終章 地名の調査と保存
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こきよ
66
地名とは史料であると著者は言う。文化的な営み、道などの景観。時と共に移ろうものの中でも、地名には長い時間を経たものが多く、歴史研究に於いては一級の資料足り得よう。多くの地名が忘却されつつある事を憂う著者の心中を察しつつ、読了した。2014/09/14
みかりんご。
2
【図書館】タイトル通り地名の歴史について読み方(呼び方)や由来についてを、地名の解釈法、史料学、歩き方、歴史地図の読解、歴史叙述、調査と保存の章から構成。◆解釈法では私が知りたかった読み方というか呼び方推移(変遷?)が分かって面白かった。同じ事物を指していても、その土地土地で音韻に変化が生じ、地名を表す表記や読み方が変わってくるのね。奈良県天理市には中世の地名が今でも残っている、とφ(^∇^ ) 今度、地図を見てみようっと。2021/01/16
yanapong
1
中近世の耕地地名を中心とした地名研究。読みやすいが内容は深い。2012/03/18
邑尾端子
0
地名の研究にあたって史料だけに頼らず、あくまで聞き取りを主体とした実地調査によって明らかにしていく筆者のこだわりは歴史研究の手法として大いに参考になる。末尾の新住居表示反対運動については、歴史地名の消失という住居表示の弊害については全く同感なのだが、郵便局に対するクレーマーのような行動を自慢気に書かれていたのは少しひいた。2012/08/15