出版社内容情報
Xで200万人が共感! 新進気鋭の詩人・Payaoが綴る、人生と感情の記録
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人生には、どん底がある。生きているだけで精一杯で、息をすることさえ苦しく、朝が来るのが怖くて、自分の価値などこれっぽっちも感じられない。泣きたいのになぜか笑って、またやり過ごしてしまう──そんな日々が、人生にはあるのだと思う。
そうした日々の中で心の支えになるのは、驚くほど些細なものだったりする。名前も知らない作家の一行、一杯の珈琲、通りすがりの誰かの優しさ。死にたいほど辛いのに、生きる理由にするにはあまりに小さい、けれど美しいものたち。そんな小さな光を集めて心に貼り付け、僕らは何とかここまで生き延びてきた。傷つき、痛み、悲しみながらも、確かに今日をまた生き延びている。
幼い頃にも、子どもなりの「絶望」はあった。友達の輪にうまく入れなかったこと。先生に「泣いても何も変わらないでしょ」と言われ、胸の奥が詰まるような気持ちになったこと。大人たちは「気にしすぎだよ」と相手にしてくれなかったけれど、あの頃の僕にとって、それは確かに「世界の終わり」だった。
ちょうどそんな時期だったと思う。生まれてはじめて打ち上げ花火を見た日のことを思い出す。父に肩車をしてもらい、ビルの間からやっとひとつだけ見えた、小さな光。それなのに、不思議と胸の奥にあった重たいものが、ふっとほどけていく感覚があった。悲しいわけでも、嬉しいわけでもない。ただ、心がハッとして、胸の奥の澱みが溶けていった。
この世界にはまだ、自分の知らない美しいものがある──その事実が、「世界の終わり」のように感じる今を、無関係に照らし、あっさりと救ってしまうことがある。
この本に綴ったのは、そんな小さな光の記憶たち。
きっと、これを読んでいるあなたも、誰にも言えない痛みや、声にならない想いを抱えているんだと思う。だから、僕自身がいくつかの光に救われてきたように、今度はこの本が、あなたの心で瞬く小さな光になれたらと願う。
(「はじめに」より)
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傷つけないように選んだ言葉。
忘れられないほど拙い愛。
祈るように、生き延びた夜。
すべての人の痛みと諦念に静かに寄り添うエッセイ集
収録内容
第1章 優しい人のための防衛策
第2章 傷跡から美しさは生まれる
第3章 自分の歩幅で丁寧に暮らす
第4章 不合理を愛するということ
第5章 絶望の海を優雅に泳ぐ
【目次】
■収録予定内容
うまく言い返せない理由/「期待しなければ傷つかない」はすでに傷ついている/黙って去るという選択/幸せの後遺症/悪意よりも、何気ない無神経さに傷つけられる/相手の全部を知ろうとするのは愛じゃない/愛は役に立たない/誤解する人はしたくて誤解している/人が死ぬとき後悔することは大体みんな同じ/幸せになることが最大の復讐/本当に“突然”人はいなくなる/他人の幸せを素直に喜べないとき/大丈夫じゃないかもしれない、でも大丈夫/美しさは知性/「なんとなく嫌」という直感の正体/「許せる」ことは愛か否か/嘘をつかない人はたいてい不愛想/心を癒すのはどこまでも時間/足りないのは、優しさじゃなくて、想像力/強く生きたいと思うなら、美意識を持ったほうがいい/優しい人のつくり方/完璧主義は、自分の弱さを隠す言い訳かもしれない。/誰も信じられなくなりそうなときは、自然の摂理に身を委ねる/品を失わない人の共通点/あなたの言葉が誰かの居場所になるかもしれない/適切な距離=心の平和/誰かを傷つけないための大切な9つのこと/大切な人を心に宿して生きる/あの人もあの人なりにいっぱいいっぱいだった/丁寧な暮らしが呪いをほどく/褒め言葉は特効薬/相手の弱さや、陰湿な部分まで愛せるか/寂しさで恋をしない/自分の本音を見抜いてくれた人/人が海を眺める理由/コスパもタイパも最悪な恋をしよう/我慢って毒を飲むように、自分を傷つけること/心と心で接し合うことが、人間関係の防腐剤/優しさとは、弱さから生まれるもの/地獄を知った人は美しさに気づける/"好きなことをやってください。自分を見失わないように"/優しい言葉で世界は変わらない/他の人の好きを否定しないというのは、最低限の礼儀/淡々と咲く─続けるということ/虚しさは「欠落」ではなく「余白」だと思う/「出逢えてよかった」人でありたい/離れていても離れないお守りのような関係がいい/人生って、最後にはちゃんと帳尻が合う/傷から咲く花─傷つきながら生きるということ



