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出版社内容情報
クラスメイト・暁月杏は寿命を延ばすために「エモい」という感情を食べているらしい。僕はそんな彼女に協力して一緒に「エモい」を探すことに。でも「キミ、私の初恋になってよ」ってそれは話が違うんじゃないか!?
内容説明
僕・柊透葉は、クラスメイト・暁月杏の「エモ探し」に協力させられている。深夜のプールに忍び込んだり、夕暮れの教室で黄昏れてみたり。明るく可愛く真面目で優しい優等生で通っている暁月には秘密があって、月に一度、エモくならないと死んでしまうらしい。あんまり深入りしたくないけど、僕は僕で彼女に弱みを握られているから、協力するしかない。可愛い暁月と一緒に綺麗なものを見られるんだし、少しばかり役得に感じてもいいのかもしれないけど…。でも、「私の初恋になってよ。私をドキドキさせて、エモくさせて?」ってそれはちょっと僕に求めすぎじゃないか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
28
余命宣告をされたクラスメイト・暁月杏の寿命を延ばすために、密かに協力している高校生の柊透葉。そんな暁月から思わぬ提案をされる青春小説。明るく可愛く真面目で優しい優等生・暁月が抱える、月に一度エモくならないと死んでしまうという秘密。唯一それを知っていて一緒に深夜のプールに忍び込んだり、夕暮れの教室に黄昏れたりしていた透葉に暁月から提案された初恋になってほしいという提案。けれど生き延びるための手段に代償がないわけもなくて、それでも生きるべきなのかと葛藤する彼女が選んだ結末の意味を考えずにはいられませんでした。2024/08/23
なみ
16
エモを摂取することで余命を延長するクラスメイトの暁月杏と、その手伝いをする柊透葉の物語。 夜の学校に忍び込んだり、遠くまで旅行に出かけてみたり。 2人は色々な「エモい」を探しにいきます。 不干渉がモットーの柊が、終盤では覚悟を決めて行動に移すようになる。そんな成長がしっかり描かれていたところがすごく良かったです。 紛れもなくエモい作品でした。2024/09/09
真白優樹
13
不等価交換を生業とする怪異に、エモさと引き換えに命を貰う少女に付き合わされエモを探す物語。―――閉ざされていく生の中、生き残るためのエモを探して。 一月に一度付き合わされ、エモを探す日常の中で彼女に向き合っていく物語であり、報われぬ最期が待っているとしても、と選んでいく独特の切なさと空気がある物語である。きっと最後は何もかも閉ざされ失うとしても、傍に居ると決めたのだから。段々終わっていく道の中で探していくエモの先、どんな最期が二人に待っているのだろうか。 うん、とても面白かった。2024/09/03
椎名
13
自分はこれまで「エモい」という言葉が正直あまり好きではなかった。そこにあるはずの様々な感情やその言葉一つに簡単に集約され、感性もひとまとめに記号化される感覚があった。しかしこの作品を読んで、改めてエモいとはどういうときに使う/思うものなのかということを考えられたのは良かった。余命やその延命という設定はあくまで書きたいことを書くためのツールのようなパーツに過ぎず、生きていれば繰り返される感動や衝動は当たり前になり心は動かされなくなっていくという誰しもに当てはまることを描ききっている。良い作品でした。2024/08/30
たまご
9
序盤は温度感低めの柊にやや感情移入をし辛かったのですが、その元凶となった出来事が明らかになるにつれ見方が変わってきます。ただ、最後までその辺の真相は語られなかったので若干モヤる部分も…。順調だったエモさ探しが暗転し始め、やや重たい展開が続くも物語にはグイグイ没入させられた。エモさを消化し生への執着が徐々に薄れて行く暁月とは反対に、エモさ探しに積極的になる柊。立ち位置が入れ替わる二人の様子がエモい。恋人ではない(そもそもお互い好きなのかもよく分からない)微妙な関係性の妙が魅力的でもありました。2024/10/09
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