内容説明
乱世を生き抜き、勝利こそ正義と信じる父、宮本無二。類を見ぬ一途さで、天に背かず己の道を生きんとする子、宮本武蔵。武蔵誕生の秘話、人の世を生きる意味を描く書き下ろし衝撃作。
著者等紹介
好村兼一[ヨシムラケンイチ]
1949年、東京生まれ。東京大学在学中に全日本剣道連盟派遣学生指導員としてフランスに渡り、以後、現在までフランスで剣道指導に携わる。パリ在住。剣道は最高段位の八段。2007年に『侍の翼』(文藝春秋)で鮮烈にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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クラスタン
5
武蔵についてはあまり詳しくは知らなかったので、この本を読むことで知りえると思っていました。が、この本は武蔵よりも養父である無二に重きをおいて描かれていました。二刀流の創案者が武蔵でなく、無二であったことも驚きでしたし、最後の章である「巌流島の戦い」で描かれている小次郎も、固定観念にあったイメージと違っていたので吃驚しました。2012/05/20
Mituya Hasegawa
3
武蔵の物語というより、その父である無二の物語。それはそれで良し!また新解釈の武蔵像が新鮮!2013/10/21
yearning for peace
3
宮本無二が合戦で負傷した敗残兵・田原甚右衛門を助けたことが縁で、彼の次男を養子に迎える。それが武蔵。実の両親と養父の良い面を受け継ぎ、純粋培養されたかのような兵法者への道をひたすら歩む。とはいえ、タイトルが示唆するように、本書の主人公は武蔵の父・無二。彼はとても人間臭く、武蔵を養子に迎える前や関ヶ原で敗戦者となって以降は、その人間の醜さが露呈する。その姿を見たとき、武蔵のとる二回の行動はいずれも得心がいく。伏線もありで、こういう描き方があったか、と感嘆の一語に尽きます。2010/04/24
maito/まいと
2
無二の不完全な荒々しさと、武蔵の品行公正さのミスマッチが斬新な武蔵像を創りだしてます。小次郎を武蔵は集団で打ち倒したという史料をモチーフにした巌流島など、従来の捉え方にとらわれない構成には脱帽の一言。最初の無二が負けた相手は、やはり伊藤一刀斎なのかな?そんなクロスオーバーも楽しめます。ここまで来たら、是非とも武蔵の続編を!2010/04/21
ぶーにゃん@積ん読本解消中
1
礼儀正しく孝養厚い武蔵と勝つためには手段を選ばない養父の無二の対比がおもしろかった。従来の武蔵像を無二が引き受けたおかげで作者のイメージする武蔵が生き生きしている感じがしました。2010/09/10