内容説明
それも誰ゆえ、桜姫―危うくしなやかに舞う、色身の哀しみ。鶴屋南北の名作「桜姫東文章」から悠然と飛翔する、耽美幻想の物語。
著者等紹介
領家高子[リョウケタカコ]
1956年東京向島生まれ。東京外語大学ドイツ語学科中退。1995年『夜光盃』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
49
無垢な美しさが狂おしい。哀切と官能的な香りが漂い、耽美の世界に飲み込まれます。流されるまま酔いました。2020/12/14
fukufuku
5
清玄桜姫もののノベライズかなと、作品にも作者にもなんの予備知識もなく図書館から連れ帰ってみた。桜姫東文章は初めて観た歌舞伎で、今でも一番好きな演目だ。読んでびっくり。作者の桜姫感と私のとがあまりにも違いすぎた。本作は桜姫東文章を種に、耽美で幻想的で官能的なとろとろとしたねっとりとしたふわふわとした何かだった。桜姫ってこういう娘だったろうか。かなり違うんだけどな。私の桜姫を違うものにされた気がして不快感。また、全体を覆う空気感も好みに合わないというか。残念。2025/05/20
猪子
3
最初は耽美な歴史小説かしらん、と思いながら読んでいくと『次元嵐』やら『境界渡海者』やらのワードが出てきて段々と私の頭はオーバーヒート。学がない故に読み進めるのに大変苦慮致しました。鶴屋南北の『桜姫東文章』を観ればもう少し理解もできるのかな。2017/04/26
Kyo
0
毒である。消化できぬ飲み込めぬ、口から溢れ臓腑焼く。引きずり込み引きずり落とし、見たくないと思うても目を塞いでも浮かび消えぬ。はて、何で見ていたか。息をしていたか。『誰(たれ)ゆえ、桜姫』折しも外は満開の桜。しかし中の桜は散ることはなく、開けばいつでも見られよう。艶やかで儚く凄まじき、あの姿2013/03/30
於莵丸@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
0
後半にいきなりファンタジー展開入ってきて(あれ?時代劇ではなかったの??)ついていけなかったのだけど、切ない話です。縺れて絡まって、ほどけなくなってしまった(けれどほどきたくない)縁の糸…という印象を受けました。2010/05/01