感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
270
人間文化研究機構が国立民族学博物館、国際日本文化研究センター、国文学研究資料館と連携し、百鬼夜行を集大成した企画。これらの研究機関に属する第1級の研究者たちが参加しているだけに、本書は現在のところ望み得る百鬼夜行研究の先端に位置しそうだ。こうしてあらためて百鬼夜行図を並べられているのを見て思うのは、これら異形のモノたちはけっして怖くはないということだ。むしろユーモラスでさえあるところに最大の特徴があるのではないだろうか。すなわち、異界のモノたちと人間世界とは真っ向から対立するものではなく、長い間⇒2024/06/28
Kawai Hideki
14
図書館の企画コーナーの展示本を拝借。百鬼夜行絵巻には様々なバージョンが存在しており、代表的な8巻を比較しつつ鑑賞できる。版毎に妖怪の順序が変わったり、独自の妖怪を追加していたりと面白い。源流とされる「真珠庵本」は室町時代の成立で、作者は土佐光信という人らしい。また、百鬼夜行にまつわる伝承や説話を、平安時代の物語集まで溯って考察。古い道具、動物、食べ物、架空の存在等、あらゆるものがユーモアたっぷりにキャラクタライズされている。妖怪といえば鬼太郎だが、むしろアンパンマンにつながるものを感じた。2013/08/10
a43
6
2010年展示の図録。観たかった本物。こんなまとめて見られる時ないべ。東京いたのにバカ〜読んでると、電気グルーヴのモノノケダンスのMVが脳内再生され、久々みてみたら、最後がちゃんと夜が明けて終幕なのね。当時からハイセンスと思っていたが…百鬼夜行の絵巻も終わりが「朝日(大きい火の玉)」や「ニワトリ」とかで終わるって。室町〜時代を超えて幕末の風刺画風へと趣を変えつつも、時代を超えて人は妖怪を描いた。何故ヒトハモノノケニミセラレルノカ。小野篁とか何者なんだ、鬼灯読んでるから、天パしか浮かばないんだけどw2014/01/19
かりこ
5
数多くの百鬼夜行絵巻を全巻収録していることに加え、付喪神絵詞など百鬼夜行絵巻に関連する絵巻も一部分だが載せていて非常に充実している。また絵巻だけでなく百鬼夜行に関わる説話や物語にも触れられている。百鬼夜行絵巻について幅広く知りたい人に最適。2013/05/15
noko
4
妖怪お化け好きの我が子と一緒に。近衛家が持っていた百鬼夜行絵巻には、珍しく詞書がついている。主人を失って荒れ果てた屋敷が舞台の話が書いてある。江戸時代の怖い話だよと、我が子に読んで聞かせたが、全然怖くなーいと言われてしまった。描いてある鬼も目玉が丸くて、怖いというよりひょうきんな印象。伝土佐吉光の絵巻は、最後のクライマックスが見事!ほぼ黒い墨で表現されているが、西洋の悪魔にも似た闇の者がカッコいい。百鬼夜行と言っても、ベースは同じだが、出てくる妖怪や鬼の顔などには、かなりの違いがあって、比べると面白い。2024/08/24
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- 和書
- 説得の文章術 宝島社文庫