内容説明
敗戦から近藤芳美・塚本邦雄との遭遇、九州逃避行、歌壇復帰、そして「歌会始」選者就任、近年の穂村弘現象まで。多くの秘話・エピソードとともに、自らの足跡と歌壇史を重ね合わせ、驚くほど正直に、かつ赤裸々に語り尽くした話題作。
目次
父と戦争
文化の厚みと戦後アララギ
「未来」創刊まで
塚本邦雄に出会うまで
吉本隆明との論争前後
安保・岸上・前衛狩り
歌壇の変化と九州行き
短歌を捨てた日々
第二の岡井隆へ
再誕岡井隆と「未来」復帰まで
『人生の視える場所』の裏側
女性の時代へ
時代の変化と短歌
俵万智の登場は何をもたらしたか
文学の変質と東京移住
歌会始問題とその後
見えてきたもの/そして。これから
著者等紹介
岡井隆[オカイタカシ]
1928年、愛知県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。「未来」編集発行人
小高賢[コダカケン]
1944年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。「かりん」選歌委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かふ
17
父親から本を勧められて素直に面白いと従う。歌壇でも絶えず父親的(兄貴分かもしれない)な存在として、近藤芳美や塚本邦雄がいて、それでも「アララギ」を離れなかった(アララギのお坊ちゃんという)。「未来」はそんな「アララギ」の中の一つとして、今も存続していた。保守的でありながら元マルキスト。流されやすいのかもしれない。ただ弟や妹もそうだったようだから、あの頃の社会的な問題でもあるが家族的な問題でもあったのかと思うのは母親が精神病院に入ったという話。今だったらそれは家族の問題として向き合うべきなのかもと思える。2024/10/05
羽毛
1
何となく短歌の本が読みたくなり。岡井隆については歌人で医者で反体制、お洒落なおじさまくらいのイメージしかなかったので色々驚いた。語り口は淡々としているけれど、異常なほど色々な「欲」が強い人という印象。歌壇の中心にありながらどこか第三者的というか冷静で...不思議。戦後短歌史をざっくり振り返るつくりで、俵万智の登場を歌人たちがどのように捉えていたのか等、とても興味深かった。穂村弘にカウンターが現れなかったのは、本人のみならず短歌界にとって物凄い不幸だったのだなと思う。2014/05/27