内容説明
天城と江崎は日米交渉の裏で糸を引くイギリスの思惑を探るうち、ソ連の「スニェーク」なる作戦が進行中であることを知る。英、米、中国、ソ連の陰謀が絡み合い、日本を戦争へと導く運命の歯車が回りだす…。壮大な謀略を突き止めた天城と江崎に、残された道はあるのか―。歴史を塗り替える、驚愕の新事実を明かす。
著者等紹介
西木正明[ニシキマサアキ]
1940年、秋田県生まれ。早稲田大学教育学部中退。「平凡パンチ」「週刊平凡」などの編集者を経て、80年より独立し作家に。『オホーツク諜報船』で日本ノンフィクション賞新人賞、『凍れる瞳』「端島の女」で直木賞、95年『夢幻の山旅』で新田次郎文学賞、2000年『夢顔さんによろしく』で柴田錬三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Book Lover Mr.Garakuta
15
図書館本:【再読】【速読】(一日一書):時流に流されやすい日本と言うか、大東亜共栄圏版図拡大に向けて、侵略戦争に明け暮れていたら、英米ソ中など連合軍との対立は自然と深まる。戦争初期戦意高揚も高まり、連戦連勝するも、結局皆さんの御周知のとおり国力のあるアメリカにに返り討ちあい敗戦。当時の陰鬱な国民感情が、伺える先品だった。今作品は第2次世界大戦の太平洋戦争開戦に至るまでの経緯が記されている。一気読みできる面白い本だった。2021/09/20
Book Lover Mr.Garakuta
5
図書館本:速読。読了。時代が動くと歴史が動く、一説として受け止めると、そういう展開もあるかもと思う。2018/12/15
ゆずこまめ
2
時代の流れには逆らえないのか…題材が題材なので、読んでて複雑な気持ちになりますが、上下巻一気読みするくらい面白い。2014/03/25
RIN
2
読んでる途中は、「無自覚な売国奴と確信的な売国奴はどちらが罪が重いだろう?」とか「松岡外相のイメージ真逆。アメリカに都合の良い歴史認識か?」とかいろいろ考えながら読んでいた。結局、この小説の説が真実だろうと妄想だろうと、国益に資するのが開戦か戦争回避か、は、日米英露中独にとってそれぞれに是だったんだろう、と今なら思う。戦争回避=善というのは、今の時代だからこそ言える、謂わば戯言。外交官も政治家もプロフェッショナルだった最後の時代だったのかも、と思わせる。なんだか切ない読後感。2011/08/14
よっちゃん
1
わが国がアメリカの一方的戦略に乗りやすい体質だとはかねがね思うところなんだが、真珠湾もそうだったんですよと言われても、それは素直には受け入れられないなぁ。 三国同盟の結成で無謀な覇権争いに関与した日本。そこに仕掛けられた巨大な罠。激烈な諜報戦の果てに、真珠湾の奈落が待っていた。 この作品の骨格は真珠湾奇襲による太平洋戦争勃発は日本側の積極的作戦ではなく、イギリスが仕掛けた罠に日本がまんまと引っかかった結果だとしているところである。「奈落」か。そうか日本は被害者だったんだ?2009/04/26