内容説明
ドイツ・ロマン派を代表する画家、カスパール・ダーヴィト・フリードリヒ。その絵画に湛えられた深い崇高感覚に、シューベルトの音楽、中原中也、梶井基次郎、ランボー、チェーホフの文学、東山魁夷の絵画、そして哲人ニーチェの言葉を折りかさね、そこに谺する「崇高なもの」の響きを、現代社会への根源的問いとして聴き取る。
目次
海辺の修道士
崇高のアリア
芸術を愛する一修道僧
すれちがった修道士
黒衣の僧
「他界」の秘めやかな筆触
アルベール・ベガン『ロマン的魂と夢』
無限な空間の永遠の沈黙
闇の絵巻
鎌倉の「みだれ橋」
「釣柿や障子にくるふ夕日影」:修道士の昇天―或は修道士の溺死
痩せていくロマン主義者
北方の「月の光」
「月光浴」の風景画
ただ憧れを知る者のみが
われはさすらい人である
フリードリヒ・ヴィルヘルム四世
無限の前に腕を振る
末期の眼
ゴシックの大聖堂
著者等紹介
新保祐司[シンポユウジ]
1953年生。東京大学文学部仏文科卒業。文芸批評家。現在、都留文科大学文学部国文学科教授。また、近年の批評活動により、2007年、第8回正論新風賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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