内容説明
女性俳句史上、ひとつの画期といわれる中村汀女、星野立子、三橋鷹女、橋本多佳子の四T時代。女性俳句の礎を築いた四人を軸に、伝統派、革新派、境涯派、自由律派などが個性的な作風を展開する。卓越した作品ゆえに代作説まで出た沢田はぎ女、夭折の飯島みさ子と村山たか女、作家吉屋信子、舞踊家武原はん女、新橋芸者竹田小時と下田実花、銀座の女将鈴木真砂女など、女性俳人たちの織りなす十七字の人間模様。
目次
黎明を拓くひと―沢田はぎ女
古金襴のひかり―高橋淡路女
冬日まぶしく―中塚たづ子
リラの花咲く国を恋に続けて―ミュラー初子
花のいのち―田畑三千女
美しき月日―吉屋信子
知性派の女うた―原コウ子
花鳥諷詠を貫いて―今井つる女
運命を生きて―橋本多佳子
武人の妻を貫きて―及川貞〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
11
サブタイトルに「個性派の登場」とあるのだが、その前の一巻が杉田久女で終わっているのでそれ以降の女性俳人ということになるのだが、ここから4Tという虚子が名づけた女流俳人の時代になるのだ。それは虚子の元の「ホトトギス」の中にあって活躍した女性俳人であった。三橋鷹女はちょっと違うが。橋本多佳子にしても、感情を抑えて花鳥諷詠にしなければならなかった。その感情は晩年の句に出ていると思う。星野立子や中村汀女さえも晩年の句には感情が読み取れるのである。それは虚子俳句とは違う方向性だったのだ。 2024/04/01