1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
56
幕末・維新を生き抜き、天寿を全うした永倉新八の回想を、小樽新聞が連載としてまとめられた新撰組の内実。芹沢鴨の横暴や、藤堂平助、伊東甲子太郎の陰謀など、これまで読んだ時代小説に書かれていたことと符合していた。ただ、鳥羽伏見の戦いの記述は、新撰組の活躍のみが目立つ「大本営発表」の感が否めない。甲州鎮撫隊が甲府城占拠に後れを取った原因が書かれていないが、何かというと廓で酒宴を行った新撰組では、さもありなんと思った。局の定めた禁令4箇条(局中法度)も、背けば切腹という激越さが、逆に柔軟性を失わせたと思うが如何?2023/03/07
五右衛門
51
読了。凄い。歴史小説ではなく実話なんですよね。この方の胆力たるや凄まじさを感じます。けれどよくぞ語って下さったと…今まで見聞きしてきた新撰組内の話と幾分違いがあって新鮮でした。けれど色々な作品を読んでいつも思いますが余りにも時代の流れが速すぎて自分ならば絶対に付いて行けそうに無いですね。その中を流れに負けずに抗った人物。尊敬します。2019/11/21
へくとぱすかる
45
実際のところ、生き残った永倉が新撰組の顕彰を行わなかったら、現代の新撰組人気はなかった。読み終わって、何かといえば刀を交える日々を、よくぞ生き延びたものだと感心する。自分自身のことはあまり出てこないが、これも新撰組を何とか語り残したい気持ちなのだろう。新撰組は朝敵ではなく、幕府のために薩長と戦ったのだ、というのが永倉の言いたかったことなのだろうと思った。2016/08/12
いぼいのしし
35
「小手」とか「やー」とか声を出して斬りかかっていたんだなあ。池田屋の描写とか結構生々しかった。回想だから多少は事実と食い違いもあるかもしれないけれど、やっぱり本人の証言は重みがある。2022/09/16
黒猫
26
再読。新撰組副長助勤永倉新八の生々しい証言。死ぬ直前まで池田屋事件の詳細を家族にすら簡単に語らなかったという。いかにもそれは私たちのイメージしている永倉新八そのものだ。寡黙で群れない。それでいていざというときは、行動力が半端ない男。近藤、土方、沖田、井上らが多摩の同志という同郷間の一種のカテゴリーを形成したが永倉は孤高。近藤との別れもアッサリというか潔いというか、しかし死んだ近藤、土方の碑を建てて弔ったあたりが愛に溢れている。伊東甲子太郎の弟の鈴木三樹三郎と両国橋で出くわしたやり取りがカッコいいです。2018/07/19