出版社内容情報
空海[クウカイ]
著・文・その他
加藤 精一[カトウ セイイチ]
翻訳
内容説明
空海がその人生の折々に著した、詩文や碑文、書簡などを弟子の真済が写し取り、編纂した性霊集。この中から三十篇を厳選し、書き下し文と平易な口語訳、解説で紹介。空海がいかに漢詩に秀で、文章家としても優れていたかがよくわかる。また、節目節目でさまざまな事柄に積極的に取り組んだ空海の生き様、唐への留学、その後の人間関係なども具体的に描きだす。空海の人柄、足跡、一人の僧としての矜持を理解するための最適の書。
目次
山中に何の楽かある
徒に玉を懐く
大唐神都青竜寺故三朝の国師潅頂の阿闍梨恵果和尚の碑
中寿感興の詩 并に序
筆を奉献する表
柑子を献ずる表
元興寺の僧中〓(けい)が罪を赦されんことを請う表
小僧都を辞する表
大徳如宝のために恩賜の招提の封戸を奉謝する表
大使福州の観察使に与うるがための書〔ほか〕
著者等紹介
加藤精一[カトウセイイチ]
1936年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。大正大学大学院仏教学科博士課程修了。現在、大正大学名誉教授。東京・南蔵院住職。真言宗豊山派管長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
不識庵
15
私にとって空海は、ある意味釈尊よりも難解だった。空海を解説したビギナー向けの書を読んでも今一つだった。漠然とした憧憬のようなものを抱くだけだったが、本書によって空海との距離が近くなった。本書は空海の書簡集である。最初から真言密教の中央に分け入るのではなく、人間空海の横顔を知ることから始めたのは正解だった。沙門空海は否定の人ではなく、肯定の人である。非常にゆたかな心を持っている。亡き弟子智泉を悼む文に、大師の心映えが偲ばれる。哀なるかな、哀なるかな、また哀なるかな、悲しいかな、悲しいかな。重ねて悲しいかな。2017/10/15
うちこ
6
空海さんが朝廷や個人へあてた申請書、書簡の文章を集めた内容。真済さんというお弟子さんが編纂されたそうです。 これが読むとどれもすばらしい営業力。朝廷から資金を出してもらったりするときに、こうやってお願いしてたんだ…という昔の文章を読むことができます。 40歳になってから書かれた「40歳になっちゃったー」みたいな文章もあり、内容が孔子の言葉を引用してたりして、現代のおじさんと変わらない。当時の仏教僧もこんなふうに、ときに論語を引用してたんだなぁということに何度かおどろきました。何度も論語が出てきます。2019/01/18
ボタン
0
空海の書簡などを30篇、収録。以下の数字は、本書の配列順。2.時がうまく合っているか否か、黙ると語ると、その時々で変わらねばならない(真言密教に反対する、有力な人々が存在)。5.唐で空海が見聞した筆の製法を、日本の筆職人に教える。国産の筆を嵯峨天皇に奉進。7.法律や規則の適用については、事案の内容次第。10.遣唐使の着岸時に、唐朝廷への書状を代筆。唐皇帝からの帰依を受ける恵果阿闍梨も、空海のことを知っていた。16.遣唐大使の三回忌に、法要を営む。理趣経の功徳について述べる。2024/05/31
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