出版社内容情報
江戸時代に人気を博した妖怪漫画「草双紙」。豆腐小僧に見越し入道、ろくろ首にももんじい――今やお馴染みの化物たちが大暴れ!歌川国芳ら人気絵師たちによる代表的な5作と、豪華執筆陣による解説を収録。
内容説明
江戸時代に絵本や漫画のはしりとなった。草双紙。洒落や風刺たっぷりに、当時の風俗をパロディで描いた。中でも幅広く人気を博したのが「化物」作品だ。豆腐小僧など妖怪キャラが続々登場する『夭怪着到牒』や、当代のベストセラー作家・十返舎一九と人気画家・歌川国芳の合作『化皮太皷伝』など、名品5作を収録。編者のユーモア溢れる解説と、物語を味わえる翻刻、豪華執筆陣のエッセイ付き。奥深い妖怪漫画の世界へようこそ。
目次
江戸化物草紙の妖怪画
化物草双紙の世界
夭怪着到牒
江戸化物の記号学
妖怪一年草
十返舎一九と化物絵本
化物の娵入
化物嫁入のフォークロア
信有奇怪会
野暮と化物は箱根の先
化皮太鼓伝
十返舎一九の多面性
翻刻
化け物たちの来し方行く末
化物嫁入絵の不思議
よみがえる草双紙の化け物たち
著者等紹介
カバット,アダム[カバット,アダム] [Kabat,Adam]
1954年米ニューヨーク市生まれ。1979年来日。東京大学大学院比較文学比較文化専攻課程修了。現在、武蔵大学教授。専攻は日本近世文学。独自の視点で江戸の妖怪や化物を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
90
面白かったです。江戸の化物たちが繰り広げるユニークな物語と愛らしい絵がたまらなくツボでした。洒落や風刺、当時のパロディを化物に乗せて描く化物漫画に興味がつきません。この世界観、好きだなぁ。2017/01/31
テツ
14
生物として遺伝子に刻まれた根源的な畏れ。人間が文化を創り上げる中で生み出してきた忌まわしいモノゴトに対する恐れ。そうした言語化が難しい感覚に形を与え、理由を与え、ついにはキャラクター化させてしまう。妖怪とはそうした存在だ。意識はせずとも、人の内側にあるオソレを極めて文化的に昇華して理解のできる姿に置き換えることにより、それに対処する方法も見つかる。伝説や昔話では採取できず化物草紙にだけ登場する妖怪たちは、そうした人間の知恵と文化の結晶。暗がりへのオソレを笑い飛ばすための偉大な発明。2022/03/16
乃木ひかり
4
翻刻が本当にありがたい。江戸戯作絵本とかも読んでみたいが。しかし一つ目の両親から二つ目の化物が産まれ、孫は一つ目とはいったいどういうことだろう。2017/02/25
ダイキ
3
角川文庫創刊70周年記念「70時間全文試し読みフェア」にて読了。五つの化物草紙を収録。そのうち四つが『東海道中膝栗毛』で有名な十返舎一九によるもので驚きました。その四つのうち一つは画まで一九自身が手がけており、一つは歌川國芳という豪華さ。子供へのお年玉として購われていたらしく、おどろしさは皆無で軽妙な内容。一つ目系の化物や雪女、切籠灯籠等が愛らしくて好み。妖怪とは「名前そのもの、意匠そのもの」と京極夏彦は巻頭エッセイに謂い、小松和彦は巻末エッセイに江戸人の覗き趣味を首長化物の数多さから窺っている。2018/12/02
ひらひらひら
1
江戸の化物たちの物語と絵が面白いです。2018/12/01