出版社内容情報
熊野詣や西国巡礼、十一面観音像をはじめとする古寺・古仏をめぐる旅、近江を中心とした隠れ里への思いなど、神仏の信仰や求道的な祈りに共振する正子の眼差し。かそけきものへの思いと在りようを探る。
内容説明
幼い頃から能に親しんだ白洲正子は、現世は仮の姿という中世的な世界観を呼吸してきた。自らは信仰心はないと言うが、熊野那智の山上の荘厳な光景に補陀落という観音浄土を感じとり、西国巡礼以降、近江散歩ではいにしえの歴史と重ね合わせつつ、景観のなかにも手を合わせるような“祈り”のこころを持つ。その結節点にはいつも十一面観音像があった。人間の生死を超越するもの、見えざるものへの晩年の正子の表現の流儀を読む。
目次
お祈り
日本人の心
木まもり
仏になって描いた絵
西国巡礼の祖 花山院
補陀落渡海 平維盛
神仏混淆
志摩のはて
一期一会
日本の信仰〔ほか〕
著者等紹介
白洲正子[シラスマサコ]
1910~1998。随筆家。祖父は海軍大将樺山資紀、父は貴族院議員樺山愛輔、夫は白洲次郎。日本の古典・能楽・骨董・古美術に通じる。著書に『かくれ里』(読売文学賞受賞)など多数
青柳恵介[アオヤギケイスケ]
1950年、東京生まれ。成城大学大学院博士課程(国文学)修了。古美術評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sheemer
16
6月に読み始めて間を空けて読了。白洲正子のエッセイから、巡礼や宗教に関連したものを青柳恵介氏が編纂したものといえると思う。過去にいくつも読んでいるものもあり、なつかしかったり思い出したりしながら読んだ。現代作家にはちょっと見当たらない深い日本語と、彼女らしい自由な精神と揺るぎない眼・観察眼が組み合わさっている。名言の宝庫でもある。現世と仏道をただよう西行のとらえ方が好きだ。折口信夫の「ちくりを」には笑ってしまった。ほんとお茶目なんだから、白洲さんww2023/10/21
Yoshi
0
神仏や巡礼的な意味合いを持ったエッセイを集めてある。 芭蕉や西行、木食上人や円空と旅をした詩人や僧侶の話、西国三十三箇所巡りやお遍路さんの話、十一面観音の話等非常に興味深かった。 旅の中での美さ、題名にもあるがその祈りのような言葉は非常に印象に残った。 道成寺の茶碗の話も面白かったが、こういう教養も廃れてしまい中々理解されなくなっている昨今。 利休の墓、石塔の呪いの話も初めて聞いたがそんな事あったんだな、と。 近江が石で有名なのも知れてよかった。2025/01/30
Junko Yamamoto
0
白州正子節!2020/08/15